経営者が迎える人生のパートナーの条件とは
事業が成功するかどうかは、まずはトップの器量いかんであるが、前回指摘したように、ナンバー2に優れた人を得なくては事業が前進、成長しない。
優れたナンバー2は2番目の人間という意味にとどまるのではなく、得難いパートナーなのだ。
事業の世界からさらに「人生」という領域まで広げて、「成功」する要因を考えてみると、ここでもパートナーの重要性が浮かんでくる。
つまり、妻の存在であり、どのような妻を選ぶかだ。
私の経験で言えば、起業して頑張り続け、事業に成功した経営者は、おおむね20代でパートナーを見つける。
その女性のタイプの共通項を探すと、面白いことに、たいていその経営者とは真逆の性格だ。面白いというのは、事業におけるパートナー、優れたナンバー2も社長と真逆なキャラクターであることが多いからだ。
これが凡人と言っては失礼になるが、普通のサラリーマンだと、恐らくパートナー(相棒・片腕)といった意識は希薄で、容姿など見た目の好き嫌い、性格のよさなどだけで選んでしまう。
だからどうしても自分と同じようなタイプの人間を選んでしまうのである。似た者同士の相性を「破鍋に綴じ蓋」と昔から言うが、むしろ相補う関係のほうが、事業家にはいいようだ。
人生のパートナーの条件 例.つつましやかな主婦で地味な、コツコツ型
成功する事業家のエネルギー量は、私たち凡人に比べてとてつもなく大きい。お金もバンバン使う。
ある事業家などは、自分は追い込まれないと力が出ない、と言って、売り上げが落ちたときに、刃向かうように高額のビルを買い込んだりする。
役員などは大慌てになるが、そうして自分を追い込み、同時に周りにも切迫感、危機感をあおりたてて、会社全体にすさまじい成長のエネルギーを巻き起こすわけだ。
そんな夫の妻が同じタイプの人間なら、彼女まであおられてしまって、自分まですごい人間になったような気がしてしまいがちだ。
社員に威張ったり、浪費したり、取引先に対して権柄ずくになったり、どうしようもない鼻つまみ女房、最低女房になることが多い。
ところが成功した事業家の奥さんというのは、その夫の稼ぎからは想像もつかないほどにつつましやかな専業主婦で、地味な、コツコツ型であることが多い。
周りがたとえちやほやしても、全く柳に風とまともに応じることがなく、控えめを通しているものである。
人生のパートナーの条件 例.家庭のことには社員を手伝わせない
私は今年の春、(株)アースホールディングスの國分社長が毎年、自邸で催す花見の会に列するチャンスを得た。
その時、なるほど成功する事業家の奥さんとはこういうものかという姿を目の当たりにした。
花見の会は社員のために催されるものであり、1千人余りの招待客は社員とその家族である。この日、広大な國分邸は、館も庭も彼らで賑わう。
用意するご馳走もたいへんな量である。だが驚いたことに、この日のご馳走は何と一切、仕出しを供さない。奥さまとお手伝いさんが総出でつくった手料理を振る舞うのだ。
また、館の廊下、階段には、社員とその家族が遠慮なく土足で歩きまわれるように、緋毛氈を敷いてあるのだが、この膨大な量の緋毛氈もまた、奥さんが陣頭に立ってすべて敷いたものなのである。
社員はこの日、招待客なのである。その社員と家族にくつろいでもらい、桜の花を心行くまで楽しんでもらう。そのおもてなしをするのが、「自分の役目」と、國分さんの奥さんはごく自然に心得ているに違いない。これぞ、稼ぐ事業家の妻の姿であると思う。
[今号の流儀]
単に好きだ、きれいだで結婚しては稼ぐ人間になれない。
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