マネジメント

「予算思考」と「投資思考」の差が稼げるかどうかの分かれ道

 人への投資は「稼ぎ力」の源泉である、という話をしたい。投資と聞くと、株や債券などの金融商品を思い出すかもしれない。しかし、今回は「人に対する投資」というものについてお話したいと思う。

 人に対する投資とは、例えば会食した際に自ら進んで会計するとか、後輩と飲みに行って自分が全部奢ってあげるといったことも含まれる。

 人間の金遣いの思考には、予算思考と投資思考がある。実は、このどちらに与(くみ)するかによって、稼ぐ人になるか、逆に稼げない人になるかが決まるのである。

 予算思考とは何か。お金を使う際に、まず財布の中身、残金を気にする思考法だ。一方、投資思考とは、財布の中身や残金の額よりも、「何に使うか」を考える思考法、人を奢るなどがこれである。

 予算思考は守り、投資思考は攻めと言い換えてもいい。投資思考のように外向きにお金を使っていると、すっからかんになるリスクもあるが、しかし生きたお金の使い方を常に考えているから、周囲に人を吸い寄せる思考法でもある。逆に、予算思考では財布の中が気になるから、人付き合いも少なくなる。このような人付き合いに使うお金を無駄と感じ、出費を削ろうとする人間は、その感覚が人間の魅力を損ねて、将来的に味方を少なくすることもある。

最大限の感謝を表現し相手の心に刻まれる投資を

 野球日本代表、侍ジャパンの監督となった小久保裕紀さんは、私のクライアントの一人であるが、一緒に食事に行っても絶対に人に払わせることがなかったものだ。

 福岡でご一緒させていただいた時など、あれだけの大スターが、予約困難な店を自分で予約してくれた上に、私が気付かない内に会計を終えているのである。私は非常に感動した。

 彼のような立場になると、「こちらがお金をお出ししますよ」という接待はいくらでもあるだろう。しかし、彼はこれを非常に嫌っているのだ。

 なぜなら、接待関係というのは、長期的に付き合える関係にはなりにくいからだ。こちらにメリットのあるうちはいいが、価値がないとみなせばさっさと立ち去ってしまう。ゆえに、本当に困ったときには、頼りすることもできないのである。

 人との食事に出費をいとわないというのは、人に対する投資でもある。自分と出会ったこと、ともに仕事をしたことに対し、最大限の感謝で相手を喜ばせたい。そういう気持ちは、確実に相手の心に刻まれるものなのだ。

他人への投資=みんなのためにお金を使う思考を実行できる人が稼いでいる

 そうすれば相手は、「これからもずっと、この人と付き合っていきたい」と本音で付き合うことができるようになる。小久保さんは「人生の中で、これまで受けてきた恩を、まだまだ自分は返しきれていない」と言う。女手一つで、彼をリトルリーグに通わせ続けてくれたという母親の存在があってこそ、今の自分があるという気持ちから、そのような信条を貫いておられるのだ。

 逆に人に対してお金を投資しない、他人がお金を自分に払うことに無頓着であるような人は、結局のところ自分の利益しか考えていない。世の中に対してお金を「キャッシュバック」していない。だから、いつまでたっても、お金が自分に入って来ない。

 私がお付き合いさせていただいている「かっこいいお金持ち」は、縁のある人間に自分が出会えたこと、一緒に仕事ができることなどに感謝している。そして、自分のためでなく「みんなのためにお金を使おう」という意識を常に持ち続けることで、周りの信頼を得、いつの間にかそれ以上の成果が「稼ぎ力」となって返ってくるようになっているのである。

[今号の流儀]

稼ぐ人は出会いに感謝し、その気持ちを示して相手を喜ばせる。

稼ぐ人の才能は特別なものか

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