ビジネスにおけるプロジェクト成功のカギを握るのが適切なスケジュール管理です。今回はプロジェクト完遂に向けた基本的な考え方と判断基準の養い方についておさらいします。(経済界ウェブ編集部)
プロジェクト開始時のスケジュール設定はどう行うか
プロジェクトの内容、規模、予算を考える
皆様は仕事を完成に導くまでに、どのような作業のスケジュールを立てているでしょうか。
1日の単発でのビジネススケジュールや、1カ月、1年間などの長期的なスケジュール、携わる業界、仕事内容によってスケジュールの内容や長さが変わってくるかと思います。
プロジェクトを任されるからにはしっかりと完成・納品まで責任を持ち、判断基準もしっかりと設定し、取りこぼしの無い様作業へと進めていきたいものです。
まず、考えなくてはならないのは、携わっている事業、プロジェクトの規模についてです。
・プロジェクトの規模によって人員を何人充てられるのか(社内・社外)
・外部の協力会社、開発会社などに依頼する必要性はあるか
・プロジェクトにかける費用はどの程度なのか
その他にもあれば纏めておき、納品まで作業が可能かの事前確認をして、スケジュールの作成・検討をする形が一般的です。
社内でチームを編成して作業を行う場合、もしくは外部と協力して1つのものを作る場合でも、スケジュールを共有し作業の進捗の「みえる化」をして、常にスケジュールの共有を心がけましょう。
そうすることで、各プレーヤーが期限厳守での作業に専念する事が可能です。
プロジェクト開始後に新たな追加依頼をお願いされた場合は、余裕を持って解決・検討しておいた方が良いでしょう。
可能ならば、起こりうる事象をあらかじめ先回りして、対応策を検討しておくという方法もあります。
スケジュールの工数計算における判断基準の置き方
次に、スケジュールを作成する上での工数の計り方についてです。
個人の作業スピートと質は、人によりそれぞれ違います。
例えばある人は1時間に20個の作業ができて作業が早いけれども、蓋を開けてみるとミスが多い場合があり、見直す時間が新たに必要かもしれません。
もう1人は1時間に10個の作業が出来、進み方が遅いけれども、ミスが無く完璧に作業ができるかもしれません。
このような場合どちらを優先し、工数計算をしたら良いか、判断に迷う事があります。
1人1人の性格が違うように、作業のスピードや成果物の完成度も違ってきます。
1人1人の作業スピードを計るのは効率的ではないので、大体の平均値を取り、1人あたり〇分と大雑把に考えておく方法があります。
この時に気を付けていたのが、ミーティングをこまめに開催することです。
何か抱えている問題はないか、つまずいている人がいれば、どこがつまずくのかを話合う場を作ります。
作業でつまずく・引っかかる場所は誰もが気になる箇所ではないでしょうか。
1人で考え悩み、時間が経過してスケジュールが押してしまうより、誰かに聞いて解決し、先へ進んでしてしまった方が早い場合もあります。
とはいえ、関係者の全員参加を毎回強要するようだと、それこそ非効率でプロジェクト全体の進行を遅らせてしまう場合があります。
今はビジネス向けのチャットツールなどが充実しているので、そうしたサービスを積極的に利用しましょう。
もし作業が期限までに間に合わないと判明した時点で、工数管理をしている担当者に伝えることも必要です。
その際、クライアント・もしくは社内で相談してスケジュール調整をして貰えたり、もしくは作業を削り調整してもらえる場合なども出てくるかもしれません。
プロジェクトが決まった時点で、まず作業の棚卸をしてスケジュールを立てる事をおすすめします。
ディレクターによる適切な判断基準の設定がプロジェクトを成功へ導く
プロジェクト成否のカギを握るディレクターの役割
例えばウェブ制作の現場などは、通常1つのプロジェクトを複数人で手掛けます。
プロジェクトマネージャーという現場管理人は全体のスケジュールの管理をしており、業務振り分けや、全体の工数計算、クライアントの進行管理、全体のマネージメント等、1つのプロジェクトの完成へと導いていきます。
ディレクションが上手なディレクターは判断基準がしっかりとしるので、トラブル発生の際にもきちんと指示を下せます。
その結果、社内・外にも信頼が厚くなり、ビジネスにおいて評価されているケースが多いようです。
また、工数計算がままならず、追加修正・受注における決まりを何も考えずに受注してしまうなど、結果として納品が上手くいかず、炎上してしまうケースなどもあるのではないでしょうか。
プロジェクト開始後に追加受注などで工数が膨らみ、赤字を前提に継続せざるを得ない状況の場合は、継続して納品を頑張るか、途中で納品とするか、再度検討する必要があります。
最終的な手段となりますが、会社を守るうえでやむを得なければ、思い切って契約を終了とする決断を下さなければならないケースもあります。
プロジェクトが失敗する要因と修正方法
プロジェクトが完了しても、クライアントの意向と違う制作物を納品してしまいやり直しになってしまうようなケースもあります。失敗する原因としては、以下のようなことが考えられます
ディレクターの経験不足
トラブルが起こった場合の対応の問題。
経験が浅かったとしても、「冷静に判断を下す」「論理的に思考する」などの臨機応変に対応できる力はディレクター職にとっては必須です。
追加修正依頼などの増加
こちらは追加修正を受けた時点で、進行管理者に相談をおすすめします。
安易に無料で追加修正依頼を受けてしまうと、追加修正依頼が膨らみ、結果として赤字に転落することがあります。
修正においても、「初稿」、「再校正」等、あらかじめ校正する回数をクライアントと決めておいた方が負担が少なく済みます。
そして仕切り直すための項目としては
クライアントの要望をきちんとヒアリングをする。
クライアントの意向に沿っていない箇所の洗い出しをして、新たにスケジュールの引き直し(工数計算・予算の確認)をする。
作業分担の設定、各部署(外注を含む)、作業工程・チェック項目の洗い直しをする。
必要項目のサイトチェックを行う。
など、必要と思える細かな作業項目までくまなくチェックする必要があります。
システム的な部分のおもてから動作確認のチェックを行い、不具合の箇所はディレクターがまとめてシステム開発会社に修正を依頼します。
大規模なサイトの改修・修正の場合ではクライアントのチェックも途中で挟み、確認を仰いでから先に進みます。
こうした作業を確実に、ひとつづつこなせる手腕が、ディレクターには求められます。
正しい判断基準を養うには日々の仕事の改革から
炎上したり修羅場を経験することは、肉体的にも精神的にも疲れを伴います。
システムの都合や手ごわい修正にて、家に帰れず作業をすることもしばしば発生します。
若い内は無茶な働き方ができるかもしれませんが、修羅場を経験するのは日々の業務にも支障が出るため、結果としましては、あまりおすすめではありません。
ですがその時の「辛い経験をどう切り抜けたか」で、以後の自信へと繋がる場合があります。
熟慮し、アイディアを絞ったり試行錯誤した経験は、確実に次の自分の実績となるのではないでしょうか。
ピンチの時にこそ正しい判断を下せる人間となれるように、まず日々の仕事に対する考え方の改革をしてみることから始めてみると良いでしょう。
雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら
経済界ウェブトップへ戻る