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読者100人のうち5人にでも僕の真実の想いが届けばいい 奥野卓志 ごぼうの党

奥野卓志 ごぼうの党

ゲストは、2022年の参議院選挙に出馬したごぼうの党党首の奥野卓志さん。炎上した花束事件では賛否を集める時の人となりました。なぜ世間が注目する舞台で花束を投げるという暴挙に出たのか。その行動に込めた真意と、日本の将来を憂うる義士としての熱い想いを伺いました。聞き手&似顔絵=佐藤有美、構成=大澤義幸、Photo=市川文雄(雑誌『経済界』2025年2月号より)

奥野卓志 ごぼうの党 党首のプロフィール

奥野卓志 ごぼうの党
奥野卓志 ごぼうの党 党首
おくの・たかし 1974年生まれ、高知県出身。2022年の参院選でごぼうの党党首として立候補。若者向け政策に多くの俳優やアーティストらが賛同。同年、格闘技イベント「超RIZIN」にて格闘家・朝倉未来氏の対戦相手に贈る花束を投げ捨てて炎上。

若者の選挙の関心を高めたい。あえて派手なファッションを

佐藤 奥野さんと言えば、格闘イベントでの元プロボクサーのメイウェザー氏への花束投げ捨て事件が思い出されます。読者も気になる話だと思いますが、それは後にして……。現在は2022年に創設した政治団体ごぼうの党の党首として活動をされています。政治家らしくない派手なファッションがトレードマークですよね。当時の参院選でも、多数の有名人が応援に駆け付けていたのを覚えています。

奥野 花束事件もファッションにも理由があります。日本には約1億人の有権者がいますが、近年の衆院選も参院選も投票率は50%前後にとどまっていて、10~20代の投票率はさらに低い。この投票しない人たちの10%でも関心を持ってもらえたら500万票が動きます。これは先の東京都知事選挙を見ても明らかです。石丸伸二候補は惜しかったと言われますが、結果は惨敗。蓮舫候補と石丸候補の票を足した票数が小池百合子氏でした。既存の票の中で戦っても勝てないのです。こういう僕の言葉に耳を傾けてもらうため、あえて注目を集めるファッションにしているのです。

佐藤 第一印象のインパクトは大事ですしね。政党名の「ごぼう」には護衛・防衛の意味があるとか。

奥野 そうです。護防だと書けない人がいることを考えて平仮名にしました。ゴボウの花言葉には「私をいじめないで」という意味もあり、また漢方では悪い膿を出して状態を良くするという意味もあります。これらを政治と掛けてみました。

佐藤 飲食店経営などで実業家として成功している奥野さんが政治の世界に足を踏み入れたきっかけは?

奥野 僕が生まれた高知県の高知城には、板垣退助、山内一豊、野村茂久馬の3人の銅像があります。実は土佐の交通王と呼ばれた野村茂久馬は曾祖父に当たり、元首相の吉田茂のスポンサーもしていたんですね。幼少期から政治の裏側を見聞きしていたので、本来ならば関わりたくない世界でした。

佐藤 それは意外ですね。

奥野 しかし、現代の日本を見た時に、1945年の敗戦以降、日米地位協定に基づく日米合同委員会と年次改革要望書で、日本は植民地のように扱われています。おかしなことですが、有識者もサイレントマジョリティとなって戦いません。キング牧師の言葉に「最悪なのは、悪人の暴力ではなく、善人の沈黙だ」とありますが、誰も言わない真実を私が伝えたくて政党を立ち上げました。

佐藤 愛国心に溢れていますね。

奥野 だって、見えないところでも手を抜かずに働く日本人の給与だけが、30年間も上がらないんですよ? 本当は誰もが感じていることを発言しているだけです。今は偏差値65以上の人たちが東京・霞が関で政治を動かしていますが、それ以外の偏差値50以下の人たちに対して政治を分かりやすい言葉で語り、理解してもらうことが必要と感じます。

佐藤 大人の有識者が先導する機会をつくらなければなりませんね。

失礼は百も承知。炎上した花束事件の行動

奥野卓志 佐藤有美
奥野卓志 佐藤有美

佐藤 例の花束事件の行動についても伺えますか。

奥野 メイウェザーは過去に女性を殴るなどして何度も逮捕されています。元交際相手を暴行して懲役34年の実刑判決が出ましたが、司法取引で90日に減刑されて出所しています。ボクサーが女性に暴力を振るったら何も言い返せないですよね。政治に関心がない層に振り向いて欲しくて、メイウェザーを利用したのです。

佐藤 賛否ありつつも、それで奥野さんを知った方も多いですよね。

奥野 その時の動画は5億回再生しましたからね。なので花束事件も「悪名は無名に勝る」です。おかげで地方でも名前が知られるようになりました。多くの一般人は国や自分が被害を受けるような「大きな風」が吹かない限り、選挙に行くことはないでしょう。有識者は後からでも理解できます。しかし、理解力のない子たちには時間をかけて何が正しいかを訴え、教えていかなければなりません。僕が髭を剃ってスーツを着て話すのは明日からでもできますが、今は名前を売るのが先です。

佐藤 そうした信念のある活動を2年間続けてきて、想いが伝わったという実感は?

奥野 2024年8月に削除したXに、「これが私の最後の投稿です。」と題し、これまでの想いの全てを8千字にまとめました。これを1200万人が読んでくれたのは、2年間で僕がつくり上げてきた信用であり、第三者評価だと思います。僕について悪く言う人はいますし、陰謀論者扱いもされますが、心に恥じることは一切ありません。あとは本誌の読者である経営者の皆さまが判断してくださればいい。「大きな風」が吹けば、「奥野が言っていたことはこれか」と分かってもらえるはずなので。

佐藤 この対談を通して、世間に訴えたいことはありますか。

奥野 日本は47都道府県それぞれに誇るべき食や文化があるのに、いつまで弱体化政策後の米国の植民地のままでいるのか。今真実を言わなければ言う機会はなくなります。僕は国を守りたい、正直者がバカを見ない社会を創りたい。この対談を通して、100人中5人でも僕の話を理解してくれる人がいればうれしいし、賛同してくださる方がいればぜひお会いしたいですね。

奥野卓志 ごぼうの党 イラスト
奥野卓志 ごぼうの党 イラスト