犬や猫と暮らせる障がい者のグループホーム、運動療法を取り入れた障がい者デイサービスのほか、新規事業を続々とスタートしているアニスピホールディングス。フランチャイズ化による収益性も抜群という事業内容を藤田英明代表が語る。(雑誌『経済界』2022年5月号より)
ペット共生型障がい者グループホームは802拠点
ペット同伴で出社することができ、社内には保護犬や保護猫もいる同社。理念は「人間福祉と動物福祉の追求」で、展開するペット共生型障がい者グループホーム「わおん」「にゃおん」は、保護犬や保護猫と暮らすことができる。
動物と暮らすと、アニマルセラピー効果で入居者の生活の質が向上。それは医療を使う機会が減ることによる社会保障費の削減にもつながる。また、犬猫の殺処分の減少、空き家の活用といった社会問題にも、ペット共生型障がい者グループホームが寄与している。
グループホームは、全国で834拠点を突破(2021年12月現在)したが、「まだまだ障がい者グループホームは不足している」と藤田代表。
「現在、日本の障がい者の数は約990万人で、40万人分のグループホームが足りないと言われています。この社会問題を解決するため、当社は、フランチャイズ形式で常時パートナーさまを募集しており、収益性の高いビジネスモデルを構築しました。さらに、障がい者を取り巻くさまざまな問題を解決するために新規事業も続々と始めています」
「ワーカウト」で楽しく運動し心身の健康を向上させる
その一つが、フィットネスに特化し、運動療法を取り入れた障がい者デイサービス「ワーカウト」だ。
中・重度の障がいのある方は、一般のスポーツジムに通うことは難しく、運動する機会が少ない。しかし、運動をしないと身体機能が衰え、肥満にもつながり、病気のリスクが高まってしまう。
「当施設では、ボクササイズ、ピラティス、ファンクショナルトレーニングなどのパーソナルトレーニングのほか、皆で体操をするなど、楽しいプログラムがあります。おかげで、週4~5日通ってくださる方も多く、自力で立てるようになった方、ダイエットに成功した方など、うれしい報告を続々と頂いています。運動療法は精神疾患の治療効果があることも分かっており、障がい者の心身の健康ためにももっと増やしていかなければなりません」
現在は、北海道、千葉、山梨、岐阜、富山、大阪の12拠点がオープンしており、全国で300拠点を目指している。
「こちらもグループホーム同様、フランチャイズ形式で、初期費用がかかりますが、収益性は最も高く、参入されるパートナーさまが増えています。また、働いてくださるトレーナーの方の中には、現役のアスリートもおり、スポーツ選手のセカンドキャリアとして、障がい者向けのトレーニング指導という分野も注目されるのではないでしょうか」
中・重度の障がい者向けグループホームも稼働
3月からは新規事業として、中・重度の障がい者向けグループホーム「Bee Hack」も稼働。
「障がい者の家族の間で『8050問題』があり、高齢になった親が障がいのある子供の介護をすることは難しくなっています。さらに障がい者自身の高齢化によって、軽度から中・重度になるケースも増えています。そのため日中サービス支援型のグループホームをオープンすることで、何歳になっても安心して暮らしていただける環境を整えたいと考えました。こちらは7~8年後には1千棟を目指しています」
さらに、「わおん」「にゃおん」とのシナジーが期待できる、「精神科訪問看護FamilyNurse」事業もスタートした。
「精神疾患のある方に看護師が服薬や生活のサポートを行うのが『精神科訪問看護』で、これをフランチャイズ事業として展開するのが当社の『FamilyNurse』です。看護師を3人採用し、グループホームへ訪問していただく事業で、店舗を構えなくても参入できます」
また、重度の障がい児向けには、放課後デイサービス「JUGGAAR(ジュガール)」が4月1日にオープンする。
「学童保育の障がい児向けのサービスで、学習と運動の両方を行えます。ここに通っていただくことで、成長をサポートするのはもちろん、親御さんの負担を減らすこともできます。24時間365日介護をするのは大変なので、子どもを預かってくれる施設が必要ですが、これまではありませんでした。サスティナブルな支援を続けるためにも、みんながハッピーでいられる環境を創造していきたいと思います」
障がい者の求めているものをスピーディーに構築し、新しい試みに挑戦し続ける同社の今後に、業界内外から注目が集まっている。
会社概要 設立 2016年 資本金 5,300万円 売上高 15億円 本社 東京都千代田区 従業員数 200人 事業内容 ペット共生型障がい者グループホームの運営、生活介護障がい者デイサービスの運営、ペット向け看護事業の運営、ペットシッターサービス&看護サービスの展開など https://anispi.co.jp/ |