マネジメント

(『経済界』2019年11月号より転載) 

吉村心太郎氏

つなぐ-en-システム代表取締役 吉村 心太郎(よしむら・しんたろう)

 

マンション・ビルを所有する不動産オーナー向けに、情報誌とイベントを連動させた会員サービスを展開する、つなぐ-en-システム。固定観念にとらわれない企画運営と、顔が見えるホスピタリティーサービスで富裕層マーケットを活性化させている。熱い思いとノウハウから、さらなるフェーズを目指す。

 

 不動産オーナーが心待ちにしているイベントは、著名人の講演やお楽しみ企画、お土産など盛りだくさんのコンテンツで盛り上がる。数千人規模のものから、少人数のセミナーもあり、リピーターも多い。来場者は、つなぐ-en-システムが発行する季刊情報誌『TsuNaGu8』の4万5千人の会員の不動産オーナーだ。

 空室対策や建物修繕対策といった不動産オーナーが知っておきたい経営情報だけではなく、旅行やグルメ、健康など豊かなライフスタイルのためのコンテンツを提供し、ワンストップで各企業のサービスをつなぐ。

 特徴はつなぐコンシェルジュサービス。『TsuNaGu8』に掲載されているバラエティーあふれる企業サービスやイベントについて、気軽に問い合わせができる。女性を中心にしたきめ細やかな対応が好評のコールセンターは、担当者のファンが生まれるほどで出展企業からの信頼も厚い。「直接話ができること」「顔が見えること」を大切にしたサービスは単なるマッチングだけでない。人と人、笑顔と笑顔、そしてその先には世界とつないでいきたい、という吉村心太郎氏の思いがあるのだ。

 

ゼロからだからこそできたオリジナルコンテンツ

 

 もともとは不動産会社やリフォーム会社を展開していた??村氏が、お客さまである不動産オーナーに恩返しできるサービスをしたい、と立ち上げたのが始まり。立ち上げ時のメンバーはそれぞれ業界もさまざまで未経験の女性社員が中心。不動産オーナーの悩みや要望に応えたいと、ゼロからのスタートだった。

 そこで吉村氏が決めたのは、自分たちらしさを大切にすること。「固定観念にとらわれずオリジナルのサービスを精一杯提供しよう」。この考えが顧客満足を高めている。同社では単なるスクール型セミナーではなく、交流会やチーム対抗のゲーム大会などを挟んだ一風変わったセミナーを開催。単に学ぶだけではなく、来場者の満足度も高め、さらに企業との距離を縮め信頼関係を築く工夫をしている。

 

「挑戦と反省を繰り返す」社員の成長を促す勝因に

 

 挑戦と反省を繰り返していく。
 吉村氏はある時、女性たちに任せようと決めた。女性中心の運営を意図したわけではなく、営業会社の男性のように育成してもダメだと察知し、彼女らを開放したところに勝因があった。結果、女性らしい細やかさや強みがサービスに生かされた。

 それが成長の秘訣かも、と話すのは、企画マネージャーの中村早加氏。

 「指示されたことばかりではなく、企画やお客さまと企業の満足度を高める仕掛けは、毎回社員がアイデアを出し合って決めています。良い意見を取り入れて、まずはとにかくやってみます。みんなで反省会をして、自分たちで考えて作り上げるので、回を重ねるごとにスタッフも、イベント・雑誌自体も、自然と成長しています」

 設立から3年、「自分たちで考えて苦しんで成長することをみんなで楽しんでいます。今は簡単にできてしまうと物足りなさを感じるほど。もっとつなぐにしかできない、他にないことをやり遂げていきたい」と中村氏。どうすれば会員や企業に喜んでもらえるかが近い距離で体感して学べる。だからこそ一流のサービスに慣れた富裕層とも心を通わせることができるのだ。

 これは吉村氏のスタンスにも通じる。毎月グループでエリアごとに食事会を開催。社長を含め抽選で席を決め、部署を越えて顔を合わせる場を設けている。年末恒例の餅つきは不動産会社時代から20年間続けている。こうした社内行事は、吉村氏が身近なつながりから大切にしている表れといえる。

 「さまざまな取り組みを諦めず続けることで、どんどんつながり、やりたいことに近づいてきています」

 日本と世界をつなげたい思いから、世界的アートの祭典ヴェネチアビエンナーレを取材。その後、2019年9月には京都清水寺で開催されたアート展示のCONTACT展にも協賛し、アートの素晴らしさを伝える活動は広がりを見せている。他にも、中国人向けAIコンシェルジュサービスAiME(アイミー)といったインバウンドビジネスなど、事業は思いもよらなかった展開を見せている。目の前の社員からオーナーへ、企業へ、そして日本と世界をつないでいく。今後の飛躍に期待がかかる。

TsuNaGu8

『TsuNaGu8』には多彩な情報が満載。イベントと連動し、イベントでリアルに体感できると好評

 

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