Abalance(エーバランス、東証二部上場)は「社会問題の解決」を経営理念に掲げる太陽光発電を中心とするグリーンエネルギーの総合カンパニー。COP25を受けて、2020年から「パリ協定」が本格始動する中、脱炭素化を志向する「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」(JCLP)に加盟。ESG(環境対応、社会責任、企業統治)、SDGsにも取り組んでいる。(『経済界』2020年4月号より転載) 

龍 潤生氏

Abalance取締役CEO 龍 潤生(りゅう・じゅんせい)

 

 安全なグリーンエネルギーをすべての人に届けたい

 経営にESG視点を取り入れることで独自のビジネスモデルを構築したAbalance。2015年採択のパリ協定以降、世界的潮流となったSDGsであるが、龍取締役CEOは建設機械販売の会社として06年にWWBを起業したときから社会貢献を経営理念に掲げてきた。

 Abalanceの中核企業として、今では太陽光発電事業を主力とする会社に成長したWWBの活動に国境はない。「海外では夜になると真っ暗になってしまう町や村がまだ多く、そういう場所に暖かな光を届けたい」(龍氏)という方針があり、再生エネルギーによって地球環境保護と事業会社としての企業価値を両立するWin-Winの関係を確立している。

 日本政府が進める30年度の電源構成に占める再生可能エネルギーの比率(22~24%)の達成に向け、本命とされる太陽光発電。しかし経済産業省が昨年6月、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を廃止する方向で検討に入ったとの報道があり、関連産業に衝撃が走った。

 「電力会社から買う電気代より安くなれば、それだけでも十分なメリットがある。当社はFITありきの売電収益を得るモデルでスタートしたわけではなく、安全で安心な太陽光発電による『エネルギーの地産地消』がテーマです」

 現在は関連して蓄電池の製造販売にも力を入れているが、これは充放電を遠隔で容易に切り替えられる優れモノだ。

 「家電という言葉がありますが、これからの時代、家電で最も価値が高いのは、『発電+蓄電池』になると思っています。それぞれの家庭に蓄電池が常備されている社会はすぐ目の前に来ています」

 また、持ち運び可能な太陽光パネルと蓄電池のセットも自社開発した。折りたたみ式の軽量モジュールとセットにしたポータブルバッテリーは「いつでも、どこでも電気が使える」をコンセプトに、災害時の家庭用電源やキャンプなどにも最適だ。

 「今、社会は何を求めているか。何が社会貢献につながるか。このことをいつも考えています。19年は台風などの風水害が多い年でした。しかし災害は避けて通れません。ならば防災関連で、非常時に携帯できるタイプの電源は被災者にとって便利だと考えました」

 太陽光をフックに外部成長格段の発展を目指す

 同グループでは成長戦略として、「卒FIT」を見越して太陽光発電所の自社保有化と、海外事業の拡大や風力・蓄電池事業の推進、太陽光関連企業へのM&Aなどを中長期の方針としている。また、アジア戦略も重視しており、太陽光モジュールの製造販売を行うベトナム現地法人VSUNの年間生産能力は1.5GWに及び、設立から5年足らずで売上高100億円規模の会社に急成長した。サプライチェーンにモジュール製造機能を持ち、ワンストップソリューションを提供できる稀有な存在となっている。

「楽でんくん」

持ち運び可能な太陽光パネルと蓄電池がセットになった新商品「楽でんくん」

 一方でM&A戦略も積極的で、19年1月には、サガンコートと呼ばれる光触媒技術をもつ鯤コーポレーション(日本光触媒センター株式会社へ社名変更)を買収した。

 さらに同年10月にはAbalanceの一部門であったIT部門を分社化してAbit株式会社を設立。同社の遠隔監視システムなどは太陽光発電事業とシナジーがある。またIoT・AIなどのICTを活用した生産性向上支援にも注力しており、独自ビジネスとして、ホワイトカラー向け労働生産性の向上サービスにも定評がある。IT事業は農業分野にも進出。スマート農業やソーラーシェアリングのIT化により、食料問題とエネルギー問題双方の解決が期待されている。

 祖業である建機事業は、中国・三一重工の総代理店として、ソーラードリラーの投入などで太陽光発電事業とシナジーが高い。最近では海外ODA事業が伸びており、ダッカ(バングラデシュ)にWIN POWER LIMITEDを設立した。近年の都市高速鉄道や橋梁建設などの事業は急増する現地交通量を円滑に保つための重要なプロジェクトであり、地元経済の発展に貢献している。事業を通して社会の諸問題解決を目指す取り組みはさらに加速しそうだ。

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会社概要
設立 2000年4月
所在地 東京都品川区
従業員数 グループ105人(ベトナム現地法人800人)
事業内容 グリーンエネルギー事業を主軸に、建機事業、IT事業を営む
https://www.abalance.jp/
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