経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「明るく元気で素直な『明元素』が会社の力の源泉になる」

文化シヤッター会長 岩部金吾氏 

1955年の創業以来、各種シャッターをはじめ、ビル用建材、住宅用建材を製造・販売する総合建材メーカー、文化シヤッターグループ。一般社団法人日本シヤッター・ドア協会会長も務める岩部氏は、明るく元気に素直に、からとった「明元素(めいげんそ)」を説く。文=本誌/榎本正義

新しいことにチャレンジとイノベーションの歴史

 2016年3月期売上高は、重量シャッターが商業施設や物流倉庫向けに伸び、病院向けバリアフリーの引き戸も堅調。リフォーム需要も回復し、5期連続の増収を見込む文化シヤッター。総合建材メーカーとして、「ライフ・イン」「ライフロング・パートナーシップ」の2つのコンセプトのもと、生活者視点で開発した製品の提供と、顧客の永続的な信頼関係づくりに欠かせないアフターメンテナンス体制づくりにより、顧客の暮らしに役立つ製品と、サービスの提供に努めているという。

 顧客に「安心」「安全」を提供できる「快適環境のソリューショングループをめざして」を長期ビジョンに掲げ、「企業革新の実現」を基本テーマとした第3次中期経営計画が13年度からスタートしている。

新しいことにチャレンジとイノベーションの歴史 文化シヤッターは業界2位だが、「常に新しいことにチャレンジしイノベーションを起こし続けてきた」との自負が岩部金吾会長にはある。1959年に化粧品会社から転じての中途入社組だが、66年に社長室長から技術部長に就任し、当時の通産省後援で研究開発のための世界一周旅行に参加した。米国などの研究所を訪ね、研究開発の在り方やシステムなどを学んだ。その後、ヨーロッパで住宅用の雨戸を見て、その発想を日本に持ち帰り「窓用シヤッター」として商品化し、飛躍的な改革を遂げた。若いころは抜群の行動力で、トップセールスとしてならした。雨戸の販売網を確立し、事業を軌道に乗せた実績がある。立川などの米軍基地周辺の都営住宅は飛行機の騒音に悩まされていたが、この窓用シヤッターによって騒音が緩和されたという。

 90年代初頭の社長時代は、「楽しくなければ仕事じゃない」をキャッチフレーズに、テレビCMにも登場したことがある。これは企業風土の改革に一役買った。白髪に眼鏡、背が低く小太りな外見は、故・手塚治虫原作の漫画「鉄腕アトム」に登場するお茶の水博士そっくり。名刺にもそのイラストを入れる遊び心の持ち主だ。

文化シヤッターの社是は「誠実・努力・奉仕」だが、これだけでは当たり前なので、明るく元気に素直に、をもじって「明元素」を目指そうと岩部氏は社員に語り続けている。社員の元気さが会社の力の源泉になると考えてのものだ。

 メガバンクからの献金は「民主主義のコスト」なのか(写真は永田町の自民党本部)「金融機関が公開している投融資方針が実際に守られているかどうかチェックするためにケース調査を行いました。ただ、ほとんどの銀行は投融資先を公開していませんので、ブルームバーグやトムソンロイター等の金融専門の情報ソースを利用して調べています。一定程度は把握できるのですが、すべて把握することは不可能です。なので、今回の調査も完全なデータではありません」

「文化」へのこだわりと地域社会、先人への思い

「文化」へのこだわりと地域社会、先人への思い 一方で、「文化」にもこだわりを見せる。

 「『文化住宅』『文化包丁』など、一時は何でも『文化』が付いたものが多かったので、社名はこれまで何度か変更も考えました。でも以前、芸大のある先生から『必ず文化という言葉が生きてくる時代になる』と言われたこともあり、今ではこれで良かったと思っています」

 本社1階ロビーには「文化の大河」という大きな陶壁がある。文化の香りがするものがなければいけないと、国際的な陶芸家の鈴木五郎氏に制作してもらった。社内には茶室もあり、2階の約200人を収容できる多目的ホールは、社内行事に使用することは年に数回で、もっぱら後援会や展示会、コンサートなど一般に開放されている。消防署で主催する防災のイベントや、1階ロビーでは献血の場としても提供し、地域に根差した社会活動に積極的に取り組んでいる。

「文化」へのこだわりと地域社会、先人への思い 「本社を建てる時、社員食堂は作りませんでした。社員が外に出て地域の飲食店を利用することで、地元に多少なりとも還元できる。6階には先人の碑をつくりました。社員だけでなく、当社の発展に寄与していただいた外部の方も含めて、全員のお名前を呼びあげ、毎月1回献花式を行って故人を偲び、敬い、将来の成長を誓い合う場となっています。言葉だけでなく、形にして精神をつないでいくことも大事と考えてのものです。これらは経営の哲学の問題ですね」

 社業の傍らで、岩部氏は一般社団法人日本シヤッター・ドア協会会長として、業界の発展にも尽力している。防火扉や防火シャッターが設置されていても、きちんと作動しないために不幸な事故が起きることがある。そこで岩部氏は、協会会長として防火扉・防火シャッターの検査報告制度法制化を国に働き掛けてきた。これがようやく今年、導入されることになった。

 「地球温暖化の影響で、日本近海の海水温度は非常に高くなっています。四国や和歌山などの太平洋岸では、台風やゲリラ豪雨などによる浸水被害が頻繁に起こっています。また、ビルなどに防火ドアが設置されていても、物が置いてあったり針金で結わえてあったりして緊急時に機能しないのでは意味がない。法制点検化がようやく実現したのは大きなトピックです」

 今年7回目の年男の岩部氏。そのパワーは健在だった。

 
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