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IoT・AI時代の新型OSが実現する産業の再構築と第4次産業革命――菅谷俊二(オプティム代表取締役社長)

「発想の原点は、いかにユーザーに有利なものを作ることができるか」。IoTサービスのプラットフォーム『OPTiM Cloud IoT OS』が、日本のIoT・AI時代を力強く牽引し始めている。

IoTサービスを身近にした革新的な新型OS

菅谷俊二

株式会社オプティム
代表取締役社長
菅谷 俊二 (すがや・しゅんじ)

飲食店に設置した1台のカメラが空席を検知して、SNSやHPに「空席あります」と自動で投稿し、集客に寄与。来店客の人数だけでなく性別や年代、店内で動作、滞在時間のデータまで取得できる。そんな夢のようなサービスが、すでに現実となっていることをご存知だろうか。しかも、誰でも、今すぐに始められるほど身近なものとして。

昨今、IoT(モノのインターネット)はAI(人工知能)を組み合わせたアプローチが主流である。前述の例では、インターネットに接続したカメラの画像をAIによって解析することで、有用なデータを取得している。これまでは、専門家による大規模な開発が必要だった仕組みを、誰でも簡単に使用できるようにしたのが、オプティムの「OPTiM Cloud IoT OS」だ。

菅谷社長は「数年前から、IoT・AI時代に向けて最適化された基本ソフトが必要になると考えていた」と語る。「OPTiM Cloud IoT OS」は、PCやスマホのウィンドウズやiOS、アンドロイドと同様に直観的に操作できるインターフェースを持つ。ユーザーは必要な機能を搭載したアプリをニーズに合わせて「OPTiM Store」で購入し、OS上に追加していく。アプリの開発環境はオープンになっていて誰でも自由に開発できるほか、ストアで販売も可能。また、入力デバイスとなるカメラやドローンもストアで購入できる。すべてをワンストップで揃えられる上、データ処理もクラウドサーバーを使用するため、誰でもすぐにIoTサービスを使用することができる。

特徴的なのはデータ解析に使用するAIまでユーザーが都度、選択できること。日進月歩で技術革新が進む中、「その瞬間に世界で最も優れているAIを使うことができる」のだ。

減・無農薬の野菜を生産 在宅医療の革新も

活用が進んでいる分野のひとつが農業だ。佐賀県および佐賀大学と連携し、最新のIT農業への取り組みが始まっている。

オプティムが開発した「アグリドローン」はマルチスペクトラムカメラなどを搭載したオリジナルである。画像を分析することで害虫の被害に遭った作物を検知できるほか、農薬をピンポイントで自動散布することも可能だ。また高圧電流を用いた殺虫機能も搭載されており、害虫が活動する夜間に自動で飛ばせば無農薬で害虫の駆除ができる。生育環境についてのすべてのログも消費者が閲覧可能。育てられた野菜は「スマートやさい」のコンセプトで発信されている。

オプティムは在宅医療の在り方も変えつつある。

「高齢化が進む中、国の方針で病院側はベッド数を増やせません。そこで自宅をバーチャルな病棟に見立ててより多くの患者をケアできるようにしました」

菅谷俊二

必要なのはPCとカメラやドローンなどの入力デバイスのみ

バイタルデータを収集するのはスマートウォッチ。居室に設置したタブレットを通して、医師や看護師が回診の如く声をかける。プライバシーに配慮し、AIカメラは転倒や長期間の不在を、画像そのものではなく、データ解析から得られたアラートとして病院側に上げる仕組みだ。これらは「在宅医療あんしんパック」として、佐賀県の織田病院との実証実験が始まっている。

子供の発熱を感知して、担当の保育士にいち早くアラートを上げる、センサーの数値を分析して機器の故障を事前に検知するなど、アプリとの掛け合わせで提供できるソリューションは、数限りなく存在する。

「今後もさまざまな分野の方とパートナーシップを組んで、『OPTiM Cloud IoT OS』の可能性を探っていきたいですね」

IoT・AI時代のスタンダードとなるプラットフォームは、すでに扉を開き、われわれの目の前にある。

株式会社オプティム

  • 設立/2000年6月
  • 資本金/4億1763万2千円
  • 従業員数/224名
  • 事業内容/IoTプラットフォームサービス、リモートマネジメントサービス等
  • 会社ホームページ/http://www.optim.co.jp/

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