トイレットペーパーの消費は世界の森林伐採の20%を占めており、私たちの生活において清潔さを保つため、毎日約40,000本の木が切り刻まれている。環境に優しいブランドの多くが自然を傷つけることなく高品質の商品を作り、一流のサービスを提供している。現在、多くの著名な起業家や有名人の環境保護を行うブランドへの投資が活発だ。中でもGreycroft Partners(グレイクロフト・パートナーズ)がリードした、新しい米国トイレットペーパーブランド「Cloud Paper」が多くの資金調達を得て注目を集めている。その理由は何か。記事作成=hackjpn
トイレットペーパーである理由は、環境を救うため
Greycroft Partners(グレイクロフト・パートナーズ)がリードした、新しい米国トイレットペーパーブランド「Cloud Paper」に、Uberの最高経営責任者Dara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏やグラミー賞を受賞したシンガーソングライターのCiara(シアラ)氏など、多くのセレブたちが総額300万ドル(約31億円)を投資している。森を破壊しない環境に優しいトイレットペーパーを作ることは容易ではない中、なぜここまで多額の資金調達を受けているのだろうか。
ダラ・コスロシャヒ)氏の下で働いていた経験のあるRyan Fritsch(ライアン・フリッチ)氏とAustin Watkins(オースティン・ワトキンス)氏がワシントン大学卒業後に設立したCloud Paperは、消費者に竹ベースのトイレットペーパーへの切り替えを促している。
彼らはできるだけ多くの木を救うことで、無数の生態系を保護することを目指している。また、プラスチックフリーの包装紙を使用し、CarbonFundと提携して製品を輸送することで炭素排出量を減らしている。この環境に優しいスタートアップが10億本の木を救うという目標を達成するのにそう時間はかからないであろう。
彼らがトイレットペーパーに着目したのは、気候変動の主な要因である森林破壊につながるものだからだ。同社の統計によると、森林破壊の15%はトイレットペーパーの生産が原因であり、米国では消費者がトイレットペーパーを使用するために約4万本の木が伐採されている。平均的な家庭が竹ベースのトイレットペーパーに切り替えることで、250本以上の木を節約できると試算している。
竹を使うのは理にかなっている。竹は柔らかく耐久性のある紙となり、しかも木よりもはるかに早く育つ。一部の竹種は毎時約1.5インチで育ち、5週間ほどでほとんどの竹は90フィート近くの高さとなる。典型的な木は平均して、毎年約1~2フィート成長し、90フィートの高さに達するまでには200年かかる可能性がある。
さらに竹が環境にとってよりよい理由として、持続可能性が挙げられる。必要な部分だけを収穫するために植物全体を壊すことなく、切った後の竹は60日待てば自己再生する。
肌にも環境にも優しい竹製トイレットペーパー
同社は立ち上げ前にエンジェル投資家から50万ドルを得ており、パンデミックによりトイレットペーパーが不足すると、わずか数日で驚異的な600%の売り上げ増を達成。製品は同社のウェブサイトでのみ販売され、消費者に直接出荷されている。竹ペーパーの繊維は粗すぎないかと心配する声もあるが、この製品は「超ソフト」であると主張している。吸収性があり、従来のトイレットペーパーと同等に早く溶解し、浄化槽に優しいという。
当初はB2Bで販売していたが、最近では一般的なトイレットペーパーの価格と変わらない28ドル(約2,940円)で24ロールを販売するD2Cを開始した。
竹はより多くの炭素を吸収し、より多くの酸素を放出する。また竹は成長し続け、収穫し続けることができるため、競合他社であるCozy EarthやEttitudeは竹素材のシーツや寝具を販売し、The Bamboo Clothing Co.やThought、Tasc、Free Fly Apparelなどは竹繊維の服を作っている。Biteはプラスチックを使わない歯磨き粉やフロスに合わせて、竹製の歯ブラシを提供している。
綿やプラスチックの代替品ではなくトイレットペーパーとペーパータオルに焦点を当てていることでライバル社が少ないという点が、Cloud Paperの強みであろう。
全国から認証を獲得し、さらなる製品拡大を行う
同社は中国から竹を仕入れており、すでに100万ロールのトイレットペーパーの生産を発注し、数十万ロールのトイレットペーパーを出荷している。
Cloud Paperには小売業へと拡大し、積極的なB2B戦略を追求し、D2Cを成長させていく意向である。今後はレストランやホテル、さらにはスタジアムやアリーナなどの企業と協力して、ビジネス向けペーパー製品への転換を進めていく予定だ。
同社によれば、ペーパータオルやトイレットペーパーにはあらゆる種類のバリエーションがあり、例えばアリーナは小さな350枚のロールではなく、3,000枚の大容量巨大ロールが必要である。2023年に向けて現在商品ラインナップを拡大しているところだという。
21年、FSC(森林管理協議会)認証を取得した最初の100%竹ブランドとなり、また「Natural Resources Defense Council(NRDC=天然資源保護協議会)が発行している「the issue of tissue」(ティッシュの問題)という年次報告書で最高評価を受けている。最近はUSDA biobased certification(米農務省バイオ素材認定)を受けたところだという。
樹木フリー竹製トイレットペーパーによって、21年だけで1万本以上の樹木を救ったと述べている同社。肌触りがよく、気候変動対策にもなり得る同社製品が世界中の企業や家庭にも受け入れられる世界も近いのかもしれない。