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提言 さらなる地域力向上を目指して~中期活動指針の中間点~ 中部経済連合会 水野明久

中部経済連合会 会長 水野明久

中経連は、2021年に策定した中期活動指針「ACTION2025」に基づき、「付加価値の創造」「人財の創造」「魅力溢れる圏域の創造」の3つを活動の柱とし、中部圏のさらなる地域力向上に挑戦している。水野明久会長が提言する。(雑誌『経済界』2023年11月号 第2特集「リブート中部経済」より)

中部経済連合会 会長 水野明久
中部経済連合会 会長 水野明久 
みずの・あきひさ――1953年愛知県生まれ。東京大学大学院工学系研究科土木工学専門課程修士課程修了。78年中部電力入社。代表取締役社長、代表取締役会長を経て、現在は相談役。2020年6月より現職。日本アイスホッケー連盟会長。

 昨年度は各委員会において、「社会実装・国際標準化推進による持続的な経済発展に向けて」や「産学連携による人材の育成」「2023年度税制改正に対する意見」などを取りまとめ、国をはじめ関係各方面への提言や要望を行ってまいりました。

 昨年7月には名古屋市と共に19年に開設したナゴヤイノベーターズガレージ(以下、ガレージ)に新たなフロア「アネックス」を増設し、起業家のコミュニティ形成への支援を強化。今年2月には「第1回中部圏広域産学官連携協議会」を開催し、各地域で共通する社会課題への対応について、広域・産学官連携の面から議論を始めました。

 「ACTION2025」の中間点に当たる本年度は、これまでの活動を土台に地域力を高める取り組みを一層具体化してまいります。

 50年カーボンニュートラルの実現に向けては、従来の延長線上ではない革新的技術の活用が不可欠であり、大学のシーズと社会や企業のニーズを融合し、生み出された技術やサービスを社会実装につなげる、実効性のある仕組みづくりが重要と考えています。

 今年7月には、東海国立大学機構と連携した「カーボンニュートラル共創シンポジウム」を初開催。これを契機に、共有した課題の解決に向けた継続的な議論や共同研究などを進める「共創の場」を構築し、産学官の交流や接点の拡大を図ります。

またイノベーションの活発化に向けては、拠点の役割を担うガレージの総来場者数が6月末に10万人の大台を突破しました。開設4年で10万人に達したことは、ガレージに対する皆さまの評価や期待の表れであり、中部圏のイノベーション創出への取り組みに対する、着実な盛り上がりの手応えを感じています。

 今後、愛知県が建設中の「STATION Ai」や「なごのキャンパス」をはじめ地域の拠点とも連携しながら、ガレージを起点に人や技術、情報がつながることで、世界をリードする新たな産業や想像を超える付加価値の創出を期待しています。

 本年度は経済・社会の大きな潮流の転換点と捉え、未来に向けて中部圏の経済を一段高い成長軌道に乗せるための「骨太のビジョン」や、その実現に向けた方策・活動の検討を進めてまいります。

 中経連は産学官や地域間の連携などにより、地域のステークホルダーや資源をつなぎ、そのポテンシャルを伸ばすことで、中部圏の地域力向上や持続的な発展に貢献できるよう全力で挑戦していきます。