経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

PEファンドとともにエグゼクティブサーチも活躍 重國泰生 ジェイエイシーリクルートメント

重國泰生 ジェイエイシーリクルートメント(提供画像)

(雑誌『経済界』2024年11月号巻頭特集「あなたの会社は誰が継ぐ?」より)

重國泰生 ジェイエイシーリクルートメント(提供画像)
重國泰生 ジェイエイシーリクルートメント シニアプリンシパル(提供画像)

 PEファンドの特徴のひとつとして、経営者の悩みに対して的確なソリューションを提供できる強みがあげられます。事業承継に限って言えば、経営人材を外部から招聘できるなどです。エグゼクティブ層の人材サーチに強みを持つわれわれには、PEファンドから特定の条件に合致する経営人材を探す依頼がありますが、近年はそうした案件が増加しています。

 また、PEファンドの事業承継の場合、株式の譲渡後に次の経営者が決まる流れを想像する方が多いかもしれませんが、場合によっては事業承継を検討しているオーナーさんに対してPEファンドがプレゼンする段階で私たちも同行し、経営者候補のロングリストをお見せするようなケースもあります。

 オーナーとしても、やはり自分が大事に育て上げた会社を次に任せる人物のパーソナリティを重要視する方が多くいらっしゃいます。次期経営者として求める人物像は案件ごとに異なりますが、総じて言えるのはすでに経営経験を有する人物を求めるオーナーが多いことです。加えて、自社の業界との親和性がある方を求める需要も大きいです。

経営は承継したいけど、資本は承継したくない

 こうしてPEファンドの案件を通じて私たちも事業承継に貢献できることはうれしいことですが、直接われわれに次期後継者について相談を持ち掛けられる事例も増えています。

 事業承継に悩むオーナーが、まずPEファンドに相談を持ち掛ける場合、資本も承継することが前提になることが一般的です。しかし、オーナーによっては資本の承継は分けて考えたい方もいるはずです。例えばよくあるのは、オーナーのご子息がまだ若く、リリーフピッチャーのような形で間をつないでくれる人材を、あくまで急場しのぎの経営者として数年だけ迎え入れたいケースです。

 あるいは、オーナーが株を100%持っているわけではなく、親族で分散して持たれている場合に、その状況は維持したいから経営だけ承継したいという事例も多くあります。

 事業承継については、まずはメインバンクや会計事務所、税理士事務所などに相談するオーナーが多いと思います。その場合は、それぞれ関係のあるM&A仲介会社やPEファンドを紹介されることが多いので少し注意が必要です。

 資本の承継も経営の承継も、両方とも一括で行いたい場合には、M&A会社やPEファンドの方がリソースはあるかもしれませんが、あくまで次の経営者を探したいのであれば、われわれのようなエグゼクティブサーチに直接ご相談いただくことも選択肢です。(談)

文=和田一樹