日本郵政グループが複数の大手企業と組んで年度内に事業化を計画していた高齢者向けの「みまもりサービス」が7月ごろまで延期される見通しだ。NTTドコモなど共同事業者との調整が難航している模様だ。そもそもタブレット端末を使ったみまもりサービスの収益性はまだ低く、昨年の実証実験の際には「当面、赤字は仕方がないが、大赤字は避けたい」(日本郵政幹部)と悲観的な見通しをもらしていたほど。タブレット端末の調達条件など細部の折り合いが暗礁に乗り上げているようだ。
日本郵政はみまもりサービスの本格展開に向けて事業会社を設立する計画で、社長にはかんぽ生命保険の谷垣邦夫副社長(57歳)を充てる方針だが、低収益事業を巡り各社の綱引きが混沌としているようだ。
みまもりサービスは、米アップルのタブレット端末「iPad」にアプリを組み込んで供給する日本IBMや高齢者の非常時に自宅に駆けつけるセコム、通信回線を提供するNTTドコモなど計8社が共同出資でサービス提供会社を設立し、事業化する構想だ。
日本郵便とかんぽ生命で過半数に相当する約40億円を出資し、主導権は郵政グループが握るが、金のなる木のはずの高齢者向け事業の先行きは不透明なようだ。
谷垣氏は旧郵政省出身で日本郵政専務からかんぽ生命副社長に転じた実務派だが、「郵政一の守旧派」(日本郵便幹部)で、新規事業には懐疑的な立場だった。その谷垣氏がトップに座る事業会社の先行きはスタート前からエンスト気味だ。
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