経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

夏場の汗対策でインナーとスーツはどうすれば良いか?

「仕事ではファッションが大事」と言えば、大事なのは中身だと反論されるかもしれない。だが、「仕事では印象(インプレッション)が大事」と言い換えれば、おそらく異論は少ないだろう。「ファッションとは、その人の内面、在り方を表すもの」と考えれば、そのプライオリティは高まるはずだ。ファッションスタイリストジャパン(FSJ)でスタイリストを務める吉川浩太郎氏が、ファッションとの向き合い方、具体的なテクニックなどを、ビジネスパーソンに向けて伝授する。

汗対策にはインナーの色も重要

今回は、体質的に自分も気にしている夏場の汗対策について書いてみたいと思います。

汗が気になる季節になると、多くの方々がまず目を向けるのがインナーでしょう。汗ジミが目立たないようにするには、インナーの着用が有効です。クールビズでノーネクタイにも対応する、第一・第二ボタンを外しても  外から見えない衿の深いものを選びましょう。色は白やライトグレーなどを選ぶと良いと思います。

スタイリストの中には肌色に近く、透けが目立ちにくいベージュのインナーを勧める方もいるのですが、万が一首元から見えてしまったときに前出の2色と比べると格好良いものではないので、私はあまりお勧めしていません。

さらに、ワイシャツの色も、汗対策では重要になってきます。

たとえば、グレーやブルーのワイシャツを着ると汗ジミが非常に目立ちます。ですから、私の場合は白や白ベースのストライプ、仕事によっては濃紺のシャツを着て目立たないように対策をしています。薄いピンクも比較的汗が目立ちにくい色と言えるでしょう。

ワイシャツはもともと下着として生まれたことから、欧米などではインナーを着ない方も多いです。ただ、湿気の多い日本では肌が透けたりくっついたりするため、知識としてこのことを知った上で、やはり着たほうがベターだと思います。

湿気を吸って、シャツの形が崩れてしまうのも汗かきの方には悩みのタネです。

ワイシャツの形が崩れにくいのはポリエステルが入った素材ですが、多少暑さを感じやすくなってしまうという難点があります。最近では綿100%の素材で、なおかつ形状安定のシャツも数は少ないものの出てきていますので、多少値は張りますが、試してみても良いかもしれません。

汗対策に有効なスーツの素材

水をはじく機能を持つドーメルのアクアプラン素材

水をはじく機能を持つドーメルのアクアプラン素材

スーツの素材に関しても夏場に向いたものが出てきています。

有名メーカーで言えば、たとえばゼニアのクールエフェクトなどは、外からの熱を遮断する機能があるので、暑さが中にこもりにくいメリットがあります。量販店の一部でも、同様の素材を扱っているようです。

日本の御幸毛織が出しているシャリックという素材も有名です。透けるぐらい薄い素材で手触りがシャリシャリしているのが特徴となっています。

また、梅雨の時期は過ぎてしまいましたが、ドーメルが開発したアクアプランという素材も面白いものです。ナノ加工を施して揮水性を持たせることによって、通気性を保ちつつ水をはじく機能があります(写真参照)。柔らかく肌触りも良いので、ジメジメする日本の梅雨には非常に良いと思います。

着心地の良さなど機能性を重視するのか、デザインなど見た目を重視するのか、という点は、服を選ぶときに必ず出てくる問題です。両方を完璧に兼ね備えることは難しいですが、「相手からどう見られたいのか」と「自分がどうしたいのか」のバランスをよく考えて、ベストな選択を試みてください。

吉川浩太郎のワンポイントアドバイス

吉川浩太郎少し前にシャワーで洗えるスーツというものが開発されましたが、これはウール100%にもかかわらず、お湯で洗った後の乾いていく過程でシワがとれていくというのが売りでした。最近では量販店のテクノロジーも、ハイブランドが馬鹿にできないレベルに来ているので、注意して見てみると楽しいのではないかと思います。

(よしかわ・こうたろう)1981年5月19日生まれ。東京都日野市出身。紳士服専門上場企業で人事採用や接客業務を経た後、イメージコンサルタントとしてのキャリアを基に依頼者独自の良さを引き出すコーディネート事業を展開。プライベートカジュアルからスーツスタイルまで幅広い知識・提案に定評がある。化粧品会社、大手建機会社、生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会(公益社団法人JAIFA)等で30~100名規模のファッション研修に携わっている。

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