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流行語大賞に見る2017年の政界

イラスト/のり

政治への信頼度は依然として高まらず

「想定の範囲内だが、不名誉なことだ。政治の信頼がどんどん失われていることの象徴ではないか」

ベテランの自民党衆院議員は、苦々しい表情でこう語った。特別国会終盤の12月1日、「2017年新語・流行語大賞」の発表が都内で行われ、年間大賞に「忖度」が選ばれたことについての感想だ。

「忖度」は、森友学園の籠池泰典理事長(当時)が2017年3月、記者会見で発した言葉で、これを機会に国会の場でも野党が追及するキーワードの一つとなった。「忖度」は本来、「他人の気持ちを推し量る」という意味だが、「政治家らの気持ちに配慮した」という意味で用いられるようになった。

2月以降、この森友学園問題が尾を引き、続いて加計学園問題が国会審議で重要な争点となった。安倍晋三首相は、衆院選の最中から「丁寧に説明する」と語っていたが、その後の特別国会を見ても、丁寧な説明が行われたとは言い難い。

各メディアの世論調査によると、内閣支持率が不支持率を上回るようになり、政権は安定感を取り戻したかのように見える。しかし、政党支持率では無党派層は増え続けており、政治への信頼度が高まったとは言えない状況は続いている。

「衆院選直前、小池百合子都知事の希望の党設立後の排除発言などが政治全体への不信感につながったようだ。本来、野党に向かう期待感が目標を失い、糸の切れた凧のようになった」

自民党関係者はこう語る。

そういえば、流行語大賞のトップテンには、東京都の小池知事の「都民ファースト」など、最優先するものを示す「○○ファースト」が選ばれた。米国のトランプ大統領が、大統領選の段階からしきりに繰り返していた「アメリカ・ファースト」というフレーズに起因しているため、○○ファーストとなったものだ。都議選では都民ファーストの会が第1党になったものの、小池人気の凋落の影響は大きく、協力関係にあった都議会公明党が連立解消に舵を切った。

とはいえ、政治の信頼を回復するほど、自民党も“再生”はしていないと、自民党中堅議員はこう嘆く。

「がっかりしたのは、質問時間の配分について、大幅に与党にも割り振りをしたこと。ドイツや英国など、先進諸国の多くは野党に質問時間を多く割いている。与党に時間を与えても、ヨイショ質問になるのは当然のこと。このような先例を作ったツケは将来、必ず来る」

この時間配分については、自民党3回生議員が要求したことによるものだとされているが、“モリ・カケ問題”を避けたい官邸側の後押しがあったとの話も伝わっている。

「3回生議員が目立とうとしているが、所詮そんなことしか考えられないダメな連中。流行語大賞でトップテンに入った『魔の2回生』だということですよ」

前出の中堅議員は、こう自嘲気味に語った。トップテンからは外れたものの、選考対象となる候補30語の中には、魔の2回生の一人だった豊田真由子議員(当時)の「ちーがーうーだーろー!」も入っていた。

18年こそはポジティブな流行語に期待

その年の世相を反映する流行語大賞。17年は政治に関する言葉が、ネガティブなものばかりなのは残念でならない。

では、18年に目を向けてみると、内政では19年4月30日に決まった天皇陛下の退位に向け、新元号をはじめとした皇室関連の事柄が決められていく。また並行して、安倍首相の悲願でもある憲法改正に対してどれだけ議論が進むのかが焦点となるだろう。

政策論議とともに、「モリ・カケ問題」がこのまま収束してしまうのか、それとも国民が納得するまで議論を重ねるのかも注目される。19年夏の参院選を前に野党再編がどうなるのかも気になるところだ。

一方、外交では北朝鮮問題がどう展開していくのか。これ以上、緊張度が増せば、最悪の事態を招きかねない。各国が知恵を出し合い、危機回避の道を探るのを期待したい。加えて、米国が離脱したTPP(環太平洋パートナーシップ協定)をはじめ、国際経済の枠組みも予断を許さない。お題目ばかりに聞こえるアベノミクスの真価が問われる年になるのは間違いだろう。18年はもう少し、いい言葉がノミネートされることを期待したい。

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