秋田市でクラウドサーバーのホスティングとハウジングを手掛けるエスツーが、IT開発受託とサイバー人材育成を新規事業として立ち上げた。魅力ある会社であれば、地方の方が優秀な人材が集まるという信念のもとで、秋田発グローバル企業を目指している。
IT企業は本来、働く場所を選ばないはずだ。フェイスブックの本社は人口3万人のメロンパーク、グーグル本社は人口7万人のマウンテンビューにある。ところが日本のIT企業はなぜか東京に一極集中し、ただでさえ人手不足が深刻な中で、技術者の偏在が問題になっている。
エスツーはIT業界が悩まされているこの問題解決のため、秋田でIT開発を受託する新プロジェクト「a.doc.」を昨年10月にスタートさせた。ITを軸に地域活性化に取り組んでいる須藤晃平社長は「地方で人口減少が進むのは働きたい会社がないからです。ITビジネスの最前線で思いっきり働ける環境を用意できれば、黙っていても優秀な人材が集まります。日本で働きたい外国籍の優秀なエンジニアも多数応募してきており当社はいつの間にか“多国籍軍”になりつつあります」と語る。
エスツーは生き生きと世界と対等に仕事ができる活気溢れる「場所」「仕事」「環境」を秋田で整備した。
秋田市の目抜き通りにあるオフィスはカフェ顔負けのスタイリッシュなデザインで、全席フリーアドレス。秋田市のシンボルである千秋公園を眼下に眺めながらリラックスして業務に取り組める。既に優秀な技術者を正社員として採用しており、それぞれが新しいクライアントとして獲得したゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)社のサイト開発や通販サイト支援会社のスマートソーシング社から在庫管理システムを受注するなど滑り出しは好調だ。
地方では、最新の技術が学べないのではという不安があるが、そんな心配は無用だ。同社の教育研修プログラムはリナックス技術者認定資格(LPIC)の教育認定校にも指定されるなど、社員が常に最新のスキルを身に付けられる環境を整えている。
次に仕事を依頼する側にとって「a.doc.」は大きく2つの魅力がある。1つは国内で開発する安心感。海外でのオフショア開発には言語や文化の違いなどから生ずる壁が少なからずある。また、最大の魅力だった安い人件費も徐々に高騰しており、渡航費用などの間接費を含めると、必ずしも割安とはいえなくなっている。同社が提案する秋田でのニアショア開発プロジェクトの「a.doc.」はLABO型なので、顧客企業は1人からでも自社のIT専従者を秋田で雇えるのが2つ目の魅力だ。
さらに同社は、サイバー人材養成塾「ハックアカデミー」を今年2月に開校する。地域のIT力が底上げされ、秋田から最先端のITベンチャーが次々と生まれる可能性も秘めている。秋田出身の須藤社長は「秋田を日本で一番やりがいがある楽しい会社が集まる地域にしたいですね」と意欲を燃やしている。
株式会社エスツー
- 設立/2006年
- 資本金/1000万円
- 売上高/7億円(2018年3月見込)
- 従業員数/30人
- 事業内容/データセンター事業、IT受託開発、IT人材育成 所在地/秋田県秋田市
- 会社ホームページ/http://www.esu2.co.jp/
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