経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

日本中のクリエイターを全方位から支援 ビジョン新たに、現場のニーズに応える――野儀健太郎(フェローズ代表取締役社長)

人材派遣に留まらず、「クリエイターのマネジメント」を通して、日本のクリエイティブ産業に貢献するのがミッション。初のテレビCMの展開、新拠点の開設など、ものづくりへの熱い想いを原動力に躍進を続けている。

沖縄支社開設で全国9拠点にアニメ、空間デザインも好調

野儀健太郎

株式会社フェローズ
代表取締役社長
野儀 健太郎 (のぎ・けんたろう)

世界に誇れるクールジャパン。アニメ、ゲーム、映像、デザインなど、クリエイティブ業界を背負って立つ人材を支えているのがフェローズだ。特筆すべきは、派遣先への営業とクリエイターのフォローの両方を一人のエージェントが責任をもって担当すること。双方のニーズを踏まえた的確なマッチングが可能だ。

16年には企業の開発拠点として人気が高い沖縄に支社を開設し、国内9拠点体制に。2万名を超える登録クリエイターのUターン、Iターンのニーズにも応えることができる体制となっている。

昨今、ニーズが顕在化しているのが制作に非常に多くのスタッフを必要とするアニメ業界だ。折しもアニメ業界でプロデューサーを長く務めたキャリアを持つ人材がフェローズに入社。彼を中心として、業界ニーズの掘り起こしが進んでいる。

一方で、野儀社長が掲げているのが、待遇の改善だ。

「フェローズは映像関係のADなど、低賃金が固定化しつつあった業界の風土に風穴を開けてきた自負があります。高くしないといい人は集まらない、という労働市場の当たり前をこの業界に広めていきたいですね」

またニーズの多い市場で新たに「プロダクト&スペースデザイン」部門を新設。とりわけCADオペレーターの引き合いが強い。

「古いビルやマンションのリノベーションが盛んですが、元となる設計図面は紙。これをデータにする必要があるからです」

16年秋からは専任担当を設けてマッチングにあたっている。

セミナールームを新設、内外で人材の強化に注力

クリエイターはソフト・ハードの日進月歩の進化に対応していく必要がある。スキルの向上も至上命題だ。

「クリエイターの方の“学びたい”という欲求に応えていきたい」という野儀社長の想いの表れが、「フェローズ・クリエイティブ・アカデミー」だ。かねてからウェブや映像、、デザインなど各分野のセミナーを平日夜に開催してきたが、16年8月には設備を拡充。オフィスとは別フロアに広々としたセミナールームをオープンさせた。これにより、セミナーも昼夜2講座ずつの開催に。フェローズへの登録の有無を問わず参加でき、受講料もリーズナブルなため、クライアント企業の社員研修としての利用もあるなど人気だ。

会社の急成長を支える組織力の強化もまた、フェローズが昨今注力しているポイントのひとつだ。これまでも拠点をテレビ会議システムで結び、密にコミュニケーションをとってきた。野儀社長も頻繁に足を運び、「日本中のクリエイターを熱い気持ちで支援するのが使命」と事あるごとに語ってきた。

バーカウンターや最新のPCを備えた明るいセミナールーム

バーカウンターや最新のPCを備えた明るいセミナールーム

このビジョンをさらに浸透させるべく、立ち上げたのが「理念プロジェクト」だ。社内の有志が30人集い、メンバー主体でフェローズの理念を言葉にしていく作業を半年以上かけて行い、理念をまとめあげた。また、初の大型外部マネージャー研修も半年かけて実施。個々の自己変容を促すきっかけとしてきた。

野儀社長が抱く次なる夢は「映画」だ。これまでも出資などを通して映画に関わってきが、16年9月には映画プロデュースの関連会社をディグ&フェローズに社名変更。総合芸術としての映画に人材の面から貢献していく可能性を探っている。今後は、フィルムフェスティバルなどの主催を通して、若手監督の発掘も手掛けたいとの心意気だ。

17年4月から15年目に入る。社員も100名を超える予定だ。クリエイターに真摯に向き合い、支える唯一無二のエージェントとして、ポテンシャルは十分だ。

株式会社フェローズ

  • 設立/2003年4月
  • 資本金/1億6000万円
  • 売上高/40億円
  • 社員数/88名
  • 事業内容/クリエイティブ業界に特化した人材派遣・紹介
  • 会社ホームページ/https://www.fellow-s.co.jp/

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