広告掲載
経営者に愛読される雑誌に記事を掲載しませんか?

ブラック融資、政党献金……監視強化の動きに金融機関はどう応えるか

ニュースレポート

企業活動を社会で監視するには、消費者が法的・倫理的に問題ある企業政党献金も含め、監視の目は厳しくなってきている。モノやサービスを選択しないのが一番。一方、そうした企業に融資する金融機関の社会的責任を問う動きも出てきた。 文=ジャーナリスト/横山 渉

「預金者の声」は高まるか

 金融機関の投融資方針を、環境や人権といった「社会性」で比較し格付けする「フェア・ファイナンス・ガイド(Fair Finance Guide)」は2009年にオランダで始まり、14年12月には日本版も開設された。現時点では日本、オランダ、フランス、ベルギー、スウェーデン、ブラジル、インドネシアの7カ国が参加している。

 金融機関は投融資を通じてさまざまな社会課題に対して直接・間接的に多大な影響を及ぼしている。こうした金融機関を監視する動きの中、世界では大手金融機関による化石燃料関連産業からの資金引き揚げなどが広まっているといわれる。

 「フェア・ファイナンス・ガイド日本版」については、気候変動や人権問題などに取り組む3つのNPOが共同で運営しており、金融機関をこうした形で格付けするのは、日本では初めてだ。日本版の評価対象は資産額上位を占める7大銀行グループとなっている。評価基準は国際的に統一されており、環境や人権、労働、兵器産業など15テーマ、273項目にわたる。

 しかしながら、投融資の「方針」だけで評価しても、実態と懸け離れていては元も子もない。そこで、同サイト運営団体では昨年、「労働」をテーマに実態調査を行い、その報告書をまとめた。労働問題を引き起こしている企業に対して大手金融機関がどれだけ融資しているのか調べたものだ。その調査で明らかになっただけでも、ざっと3千億円もの「ブラック融資」がなされている。また、フェア・ファイナンス・ガイド日本版は日本郵政グループ(ゆうちょ銀行)についても調査対象に含めていたが、金融データベース等の記録がなく、データを取得できなかったとしている。

 こうした調査において、個別の投融資先はどうやって分かるのだろうか。サイト運営団体の1つ、「環境・持続社会」研究センターの田辺有輝氏は次のように話す。

 メガバンクからの献金は「民主主義のコスト」なのか(写真は永田町の自民党本部)「金融機関が公開している投融資方針が実際に守られているかどうかチェックするためにケース調査を行いました。ただ、ほとんどの銀行は投融資先を公開していませんので、ブルームバーグやトムソンロイター等の金融専門の情報ソースを利用して調べています。一定程度は把握できるのですが、すべて把握することは不可能です。なので、今回の調査も完全なデータではありません」

 田辺氏によれば、国際的に使用が禁止されているクラスター爆弾を製造する企業に、日本のメガバンクが多額の資金を投融資している事例があるなど、世界的に日本の銀行への評価は高くないという。オランダでは一般市民が銀行に対して方針改善を要求することで、実際に改善したケースがいくつもあるといい、日本での成果も消費者一人ひとりにかかっている。

 例えば、たくさんの預金者が「私の預けたお金をブラック企業に貸すな!」とメールするなり、支店の営業担当者に直訴すれば、やがて日本の銀行も無視できなくなるかもしれない。

「融資先に献金」のおかしさ

 金融機関の融資先は企業ばかりではない。政党にも融資している。はっきり言えば、自民党だ。自民党の政治資金収支報告書(14年)によると、同党は、三菱東京UFJから31億6250万円、みずほ、三井住友から各20億7500万円を借金している。

 これら3メガバンクグループは昨年末、18年ぶりに自民党への政治献金を復活させた。献金額は各グループとも約2千万円だ。筆者が12月上旬に3メガの広報担当者に聞いたところ、そろって「何も決めていない」という回答だった。

 全国銀行協会(全銀協)の佐藤康博会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は10月の記者会見で、献金は「企業の社会貢献の一貫」としていたが、どうして社会貢献になるのか聞くと、ある担当者は「民主主義のコスト」と言っていた。しかし、献金先は自民党だけなので、この回答は理解に苦しむ。

 企業献金の是非はともかく、銀行の政治献金には、大きな問題がある。仮に貸出金利を1%とすると、20億円借りていれば、年2千万円の利息が発生し、自民党はこれを返済しなければならない。しかし、銀行が融資先に政治献金するということは事実上、「元本の減額」あるいは「利子の減免」になってしまう。

 自民党の丸山和也参議院議員は持論をこう話す。

 「一般論として企業が自分の責任で献金するのは自由でいい。しかし、自由経済なのだから、メガバンクを公的資金で救済したのは間違いだ。JALもそうだったが、日本は大企業を救おうとするし、責任追及が甘い」

 一方、融資先への献金については「おかしい」ときっぱり。

 「はっきり言って、自民党は銀行から借りたお金を返していない。巨額な借金だ。もし、銀行が全部返せと言ってきたら、自民党は自己破産だ。銀行からすれば、貸した金を返してもらうための献金ということもあるだろう」

 やはり、消費者は金融機関の融資や取引先について、もっと敏感になるべきではないだろうか。

 

【霞が関番記者レポート】の記事一覧はこちら

 
経済界 電子雑誌版のご購入はこちら!
雑誌の紙面がそのままタブレットやスマートフォンで読める!
電子雑誌版は毎月25日発売です
Amazon Kindleストア
楽天kobo
honto
MAGASTORE
ebookjapan
 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る