政治・経済

 「飲み放題の居酒屋で客に頼まれると一番困るのは?」

 答えは「ビール」だそうだ。酎ハイやソフトドリンクなどと比べ、仕入れ値が最も高いという。

 居酒屋の店主にとっては朗報だが、風呂上がりの一杯を楽しみにしているサラリーマンには面白くない話かもしれない。2017年度の税制改正でビール類の酒税の見直しが議論されることになった。

 酒税見直しは毎年、税制改正のテーマに浮上していたが、メーカーや消費者の反対に加え、消費増税や選挙など政治的な思惑もあって、何度も先送りされてきた。

 しかし、安倍晋三総理が消費増税を延期し、参院選で圧勝。近く国政選挙も予定されていないことから、財務省も今年は税制改正でめどをつけようと本気になっている。

 そもそも日本のビールの税率は圧倒的にヨーロッパやアメリカより高い。問題なのは、高い税率を避けようと、メーカーが麦芽比率を下げた発泡酒や第3のビールを次々と開発。それを受けて財務省も発泡酒などを狙い撃ちにした増税に踏み切った結果、「税体系がいびつになっている」(幹部)ことだ。一方で、税収減も起きている。

 外圧も無視できない。原料にオレンジピールなどを使った欧州産ビールは発泡酒扱いであるにもかかわらず、税率は高く、欧州連合(EU)は反発。近年は国内メーカーにも本物志向のビール開発にシフトする動きがある。このため、酒税の一本化と並行して、ビールの定義の見直しも行われる見通しだ。

 現在浮上しているのは、税額を350ミリリットル当たり55円に一本化する案だ。ビールは減税され、発泡酒や第3のビールは増税になるため、サラリーマン家庭の反発も想定される。

 しかし、最近の財務省は「軽減税率や増税延期で負け続けた」(OB)だけに、佐藤慎一事務次官の税制改正や所得税改革にかける思いは強い。

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