文化・ライフ

「仕事ではファッションが大事」と言えば、大事なのは中身だと反論されるかもしれない。だが、「仕事では印象(インプレッション)が大事」と言い換えれば、おそらく異論は少ないだろう。「ファッションとは、その人の内面、在り方を表すもの」と考えれば、そのプライオリティは高まるはずだ。本シリーズでは、20年間で2万人以上のファッションをコーディネートしてきた、ファッションスタイリストジャパン(FSJ)の西岡慎也氏が、ファッションとの向き合い方、具体的なテクニックなどを、ビジネスパーソンに向けて伝授する。

 多忙な人ほどカジュアルに意識を

 ファッションにおけるカジュアルの重要性については、これまで本欄でも指摘させていただきました。第5回目のワンポイントアドバイスでも触れましたが、今回はデニムの効果について、もう少し詳しく説明させていただきます。

 エグゼクティブの方々の多くが、仕事に追われる毎日を過ごしていることと思います。そうした方々は、たとえば季節が春になっても普段は暗い色の服を着ていたりします。心の中では「余裕があるように見せたい」「自然体に見られたい」と思っていても、結局気分をリセットできずに毎年過ごしているのです。そんな方にこそ、カジュアルの服装を変えることを強くお勧めします。

 カジュアルを新調すれば休日に外出したくなりますし、行動範囲が広がっていきます。もし、奥さんやお子さんに「カッコいい」と褒められたらモチベーションが上がるでしょうし、仕事にも好影響を及ぼすことでしょう。その効果を軽視せずに、ぜひ直視してほしいのです。

 とはいえ、最初から全身カジュアルの服を揃えることに抵抗がある方もいらっしゃるでしょう。そんなときは、しっかりしたデニムを1本持つことから始めてください。

 あくまで分かり易い例ですが、ディーゼルのデニムを1本持つことです。以前、腕時計の話をしたときは、ディーゼルの数万円の商品よりもっと良いものを身に付けることをお勧めしましたが、デニムの場合はリーバイスやエドウィンの1万円程度の商品では気分が変わりません。

 3万円以上するデニムを買うのは、なかなか思い切りが必要だと思います。でも、サイズ感、色合い、素材がしっかりしたものであれば、仮に10年履いても周囲から「お洒落」と思われ続けるでしょう。実際に、それでセルフイメージをグンと上げることに成功している方もいらっしゃいます。

 “こなれた感”を演出できるメリット

  凄く良いデニムを1本持っていても、シャツなどがイマイチの場合はどうすればいいでしょうか。心配は要りません。デニムが素晴らしければ、仮にヘインズのTシャツを着ていても、格好よく見えてしまうものです。ファッションで一番目立つのは、シャツではなくズボンと靴なのです。

 体型的にデニムが難しいと思われる方もいるでしょうが、それでもデニムは必要です。長年コンサルティングを務めてきた経験から申し上げますと、どんなに太っている人でも、デニムさえしっかりしていれば何とかなるものです。デニムはそれほどオールマイティで、絶対に必要な服なのです。

 履き続けて色落ちしても、こなれた感じに見えるのもデニムの長所です。たとえば、新品の靴を履いていると「最近買ったんだな」と思われるかもしれませんが、良い靴であればある程度色落ちしていても、「以前からお洒落だったのかな」と周囲は思ってくれます。デニムにも同じことが言えます。

 実はあまり意識せず、プロのスタイリストの勧めで履き始めたとしても、ファッションの上級者だと思ってもらえる効果があります。プロのアドバイスを受けることには、そんなメリットもあるのです。

西岡慎也のワンポイントアドバイス

西岡慎也 つい軽視しがちなのが靴下ですが、パンツと靴をきれいに「つなぐ」という重要な役割を果たしています。コーディネートのバランスを左右する重要アイテムだからこそ、揺るぎない定番は押さえておきたいところ。ネイビーとチャコールグレーの無地は、最低限持っておいてください。この2色があれば、黒、紺、グレー、茶など、ほとんどすべてのパンツと靴に対応が可能です。

 (にしおか・しんや)1979年生まれ。茨城県土浦市出身。21歳で米輸入会社ワイルドウエストジャパンに就職し、約4千人のファンを獲得。2001年、セレクトショップ「WITH PREASURE」を独立開業。従来のアパレルの販売方法ではなく、コンサルティングを中心としたコーディネートの手法を確立する。10年にファッションスタイリストジャパンを設立し、多くの著名人、エグゼクティブの顧客を獲得し、現在に至る。

ファッションスタイリストジャパンHP
 

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