高知県に「焼酎」を預けられる銀行があった
2017年5月24日

日銀のマイナス金利政策の影響で預金をしても利息はスズメの涙ほど。しかし、高知県四万十町の銀行の利息はなんと5%。ただしこれ「焼酎」の話。四万十川焼酎銀行では、預金ならぬ預貯酎を行っている。(古賀寛明)
「定期」だと年利5%で増えて行く
高知市内から1時間ほど車を走らせると、最後の清流といわれる四万十川が見えてくる。森林比率が日本一(84%)の高知県だけに、川の両脇の深い緑に圧倒される。幽谷をさらに上流に向かい、有名な沈下橋を眺めていると、やがて高岡郡四万十町大正地区に辿りつく。
かつて幡多郡大正町といわれたこの町は、2006年の合併で四万十町と名を変えた。この場所で明治26年から酒造りを行っているのが無手無冠酒造。栗焼酎の「ダバダ火振り」をつくっているといえば、ピンと来る人も多いはず。社名に込められた「冠におぼれず、飾らず、素朴な心を大切に、ひたすら自然をいかした地の酒造り」という思いからも実直な姿勢が見えてくる。
その無手無冠酒造が11年にはじめたのが、四万十川焼酎銀行。地元にあった銀行の移転閉鎖にともない、その施設をそのまま利用。変わったことといえば、預けるものがお金から焼酎に変わったことぐらいか。しかし、この預けられる「預貯酎(よちょちゅう)栗75%」はこの四万十川焼酎銀行に預けた人だけが味わえる特別な逸品だ。
高知県内でも栗の産地として知られるこの地ならではの焼酎で、無手無冠酒造が栗と米麹のみを原材料につくっている。ダバダ火振りの栗50%に比べても栗を75%つかっているだけに香りはより濃厚で、毎年500本のみの限定商品となっている。
また、その逸品を寝かすのが、頑丈な扉で守られたかつての金庫室。お金を何年寝かせても熟成することはないが、焼酎ならば時間をかけて熟成され、まろやかなうまみが引き出されていく。
銀行に預けるだけに、「普通」と「定期」を選ぶことができ、普通であれば1カ月以上で1年以内。定期であれば1年、2年、3年のいずれかを選べる。利息も普通であれば、預かり期間に応じた熟度だけだが、定期であれば熟度に加え、年5%相当量の小瓶に詰めて利息としてもらえる。
美濃焼のオリジナルの壺に入った720ミリリットル、アルコール度数30度の「預貯酎 栗75%」は、定価5千円(税込)。取りに来られない人のために送料はかかるが、発送も行ってくれる。
大切な誰かの記念日に合わせて預貯酎を行ってもいいし、自分自身の定年や誕生日に届くようにしてもいい。銀行の増えない利息にイライラするなら、いっそ預貯酎をはじめてはいかがだろうか。
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