「仕事ではファッションが大事」と言えば、大事なのは中身だと反論されるかもしれない。だが、「仕事では印象(インプレッション)が大事」と言い換えれば、おそらく異論は少ないだろう。「ファッションとは、その人の内面、在り方を表すもの」と考えれば、そのプライオリティは高まるはずだ。本シリーズでは、20年間で2万人以上のファッションをコーディネートしてきた、ファッションスタイリストジャパン(FSJ)の西岡慎也氏が、ファッションとの向き合い方、具体的なテクニックなどを、ビジネスパーソンに向けて伝授する。
ファッションを見直した心屋仁之助さんと靴
私が長年コーディネートを手掛けていた、心理カウンセラーで作家の心屋仁之助さんに先日お会いしました。
以前はあまりファッションに関心のなかった心屋さんでしたが、私がコーディネートを手掛けるようになってから、「ファッションを見直したことで人生が変わった」とおっしゃっていただくまでになりました。今では日本武道館にファンを集めて、アーティストさながら自らギターを演奏して歌うイベントを開催するなど、作家の枠を大きく超える活動をされています。
そんな心屋さんに、今回プレゼントとして差し上げたのが、日本では入手できないアメリカ限定のコンバースです。
心屋さんの場合、もともとジャケパンスタイルなど大衆向けのコーディネートを中心に行ってきましたが、自分の殻を打ち破った後は、ドラマティック系の要素を入れたファッションを好まれるようになりました。
今回差し上げた靴も、以前であればとても履いていただけないものでしたが、現在の生き様に合った「オンリーワン」や「ヒーロー性」といった要素を含む、エネルギーを感じさせるものにしました。
本連載で主張している「ファッションはその人の内面を表す」という考えを、まさに実践しているのが心屋さんだと言えるでしょう。
靴だけでなく靴下にも注意を
せっかく靴の話題が出たので、今回はカジュアル靴を履く際の注意点を1つ紹介します。
たとえば、VANSやコンバースのローカットを履くときに、一番気を付けていただきたいのは、靴下が見えないようにすること。これらの靴を履くときに、普通のアンクルソックスを合わせて見えてしまっている方が結構いらっしゃいます。
女性が靴下を見せるのは可愛いのですが、男性の場合は絶対にNGです。たまにアパレルショップの店員が靴下を見せてローカットを履いているのを見かけますが、お洒落の上級者でなければ決して真似てはいけません。
そこでお勧めしたいのは、ユニクロの「ベリーショートソックス」と無印良品の「フットカバー」など。これらインビジブルソックスと呼ばれる商品は、素足で履いているように見える上に脱げにくいのも特徴です。ただ、インビジブルソックスは締め付け感が強く巻き爪になりやすいという欠点があるので、そこは注意しましょう。見えないことが前提で履く靴下なので、色や柄は何でも構いません。
フォーマルの靴下は黒やネイビー、または靴と同系色であれば間違いないでしょう。いずれにせよ、足元が不自然に目立つ色合いのものはお勧めできません。
西岡慎也のワンポイントアドバイス
靴下を選ぶ際、白色系は極力避けてください。白い靴下はズバリ、「スポーツ用」です。フォーマルでもカジュアルでも、使える場面はほぼ無いと言って差し支えないでしょう。
(にしおか・しんや)1979年生まれ。茨城県土浦市出身。21歳で米輸入会社ワイルドウエストジャパンに就職し、約4千人のファンを獲得。2001年、セレクトショップ「WITH PREASURE」を独立開業。従来のアパレルの販売方法ではなく、コンサルティングを中心としたコーディネートの手法を確立する。10年にファッションスタイリストジャパンを設立し、多くの著名人、エグゼクティブの顧客を獲得し、現在に至る。
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