スマートフォンが普及した現在、ガラパゴス携帯電話(ガラケー)の使用者は大幅に減っています。ただ、活用の仕方によってはいまだに便利なツールとして使えます。今回は、まだまだ使えるガラケーの利用法について紹介します。
スマホとガラケーを取り巻く現状
ガラケーといえば2つ折り携帯が一般的なイメージですが、東京や大阪の街を歩くと、2つ折りを使っている人はもっぱらスーツを着たビジネスパーソンかお年寄りが多く、ビジネスパーソンに限っては電話でのやり取りが多いため、会社から支給されているケースが多いようです
3G電波は、いまだに飛んでいますが、本体機種は2016年末で公式に販売終了となっています。
もともと2001年にNTTドコモが世界に先駆けて商用サービスを開始、翌年にはKDDIグループとソフトバンクモバイルが誕生しました。
NTTドコモではFOMA(フォーマ)というブランド名で拡販をすすめ、現在まで至っています。女優の広末涼子さんによるCMが印象的なアナログ携帯のMOVA(ムーバ)を2012年3月31日にドコモが終了する際に、新聞の全面広告で告知されたのを覚えている方も多いと思います。
スマホは今から10年ほど前の2008年7月、iPhoneが日本に上陸して以来普及が広がり、現在の保有率は82.2%(博報堂DYメディアパートナーズ調べ)となっています。考えようによっては、ガラケー所有者がいまだに17%もいるというほうが驚きとも言えます。ガラケーの場合、月々の使用料金が安いのというのも、一定数に支持されている理由かと思われます。
スマホとガラケーの使い分けはどう行えば良いか
メールチェックはガラケー、原稿書きはPCで
筆者は3G通信であるガラケーと、国内メーカーのandroidスマホの2台持ちで運用しています。2つ折りガラケーはとにかく電池が持ち、電話する際も肩に掛けて話せるし、非常に便利だと感じています。
しかし、3Gガラケー=iモードでの通信は、実質的に「docomo.ne.jp」のキャリアメールもほとんど使わず、ブラウザもほとんど使っておらず、検索やSNSの使用などではスマホの方が断然便利です。
特に、グーグルマップなどの地図アプリや、電車の乗換えや所要時間の調査、交通渋滞状況や場所の特定といったことに関しては、スマホ無しでは行えないのは言うまでもありません。
ただ、仕事が終わり家に帰ってからはスマホの電源を切って、基本的に翌日まで開きません。ガラケーは常にONの状態で、家ではもっぱらPCを使います。なぜなら液晶画面が大きいし、キーボードで文字を打てるし、通信料金も定額。スピードも50MB程度と高速なので、スマホよりも快適に使用できるからです。
メールを送るソフトであるメーラーも、重要なメールに関してはPCからガラケーに転送をかけているため、夜に重要メールをチェックすることもできます。この原稿もスマホではなくPCのキーボードで書いています。スマホで音声入力を行えばかなり早くできるでしょうが、キーボードを打って書いたほうがなんとなく早くできるような気がして原稿や企画書の作成にはPCを使っています。
スマホとガラケーの2台持ちとなると費用が倍になるとも思われがちですが、スマホは格安SIMを使っているため、1500円程度の追加だけで、通話はもちろんスマホとPCと繋げてテザリングによるネット通信が可能です。物理的に2台持つという煩雑さはあるものの、それを超える費用対効果が感じることができています。
おサイフケータイのサービス終了に向け予備機を確保
数年前まではJALやANAの国内線搭乗手続きも、おサイフケータイで検査場と搭乗窓口でピッとかざして、飛行機に乗り込むことが出来ていました。しかし、ANAは、2018年6月30日、JALも12月10日に、対応を終了させてしまいました。
2020年には、JRスイカの一部サービスも終了となります。ただ、スイカに関してはログインサービスで使えなくなるだけで、同年1月までに、スイカをガラケーにダウンロードしておけば、コンビニなどでの現金チャージ機能を使って使い続けることができます。そのため、スイカを使っているガラケーが来年2月以降に故障してしまえば使えなくなります。
筆者は、もし壊れたときのためにガラケーをもう一台ネットで購入して、SIMカードを入れ替え、スイカをダウンロードし予備として保管しています。スイカは乗り物だけでなく、コンビニや駅ナカ店舗、自動販売機などでも使用できて便利なので失いたくないからです。
当然、格安SIM搭載のスマホにもおサイフ機能がついているため、そちらにもチャージしてJALとANAのアプリを入れて飛行機には搭乗しています。
顧客情報や個人情報はガラケーに移行
ドコモなど通信キャリアが3G電波を停波してしまえば、1千700万人ものユーザーが存在する3Gガラケーもいよいよ終了することになります。ソフトバンクの「Y!mobile」は既に2018年1月末をもってサービスを終了しており、NTTドコモは2020年代半ば、auは2022年03月末で終了の予定となっています。
筆者は、便利さや使い勝手と情報管理はトレードオフの関係だと思っているので、便利さは享受しながらも、個人情報や顧客情報などは保護するべきだと考えています。スマホは非常に便利ですが、顧客データがアプリから漏れる可能性を恐れています。
こうした理由で、顧客情報はガラケーに入れて運用しています。当然、ガラケーが乗っ取られたら同じことですが、機能が少ないためスマホよりリスクが少ない気がします。
停波になるまでガラケーを使い続ける選択肢も
携帯ユーザー2割の人たちの今後の動向が気になるところです。海外では現在主流の4G(LTE)の100倍ものスピードが出る5Gが既にスタートしていますし、日本でも5Gは2020年春から商業利用が開始されるため、画期的な新サービスなどが展開されるのは確実です。
筆者としては、2001年にFOMA(ドコモ)としてスタートした歴史ある3Gが終わってしまうのは非常に残念ですが、基地局設置問題などを考えたら仕方のないことです。
ただ、停波となるまで3G電波を使い続けようと思っています。他のガラケーユーザーでも同様な考えの方は多いかもしれません。
海外OSの携帯を使わざるを得ないのは残念ですが、時代の流れには逆らえないでしょう。ドコモの停波まであと6年ほどありますので、ガラケー好きの方はぜひ、活況の中古携帯市場で、品質の良い3Gガラケーを予備用に購入されておいてはいかがでしょうか。
※本連載の過去記事はこちらから
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山本康博(やまもと・やすひろ):ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役、ブランドマーケッター。日本コカ・コーラ、JT、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本製作。1年以上継続した商品を計算すると打率3割3分、マーケティング実績30年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や連載寄稿、企業研修、大学等でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、英語著書『Stick Out~a ninja marketer~』(BVC)など。
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