文化・ライフ

今回のゲストは、家庭問題の専門家として多くの方々の相談に乗っている池内ひろ美さんです。池内さんご自身も離婚されて、娘さんを育てながら働いてこられました。女性の社会進出が目覚ましいですが、だからこそ池内さんは「男は男らしく、女は女らしく」と言い切ります。

自由を得た代わりに家に守ってもらえない

佐藤 池内さんは家庭問題コンサルタントとして多くの方の相談に乗っているほか、テレビのコメンテーターとしてもご活躍なさっています。どんなきっかけでこの仕事に就くことになられたのですか。

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(いけうち・ひろみ)1961年、岡山市生まれ。32歳の時に離婚。95年から著作活動を行い、96年に「東京家族ラボ」を主宰し家族問題コンサルタントとして活動する。八州学園大学教授、内閣府後援女性活躍推進委員会理事なども務めている。

池内 私自身、離婚経験者です。20年以上前のことですが、当時は大阪に住んでいて、一人娘を連れて実家のある岡山に帰りたいと思いましたが、両親から、「女三界に家なし。親を頼るなら頭を下げて夫のところに戻りなさい」と言われて。やむを得ず、泣きながら東京に出てきました。仕事のあてもありません。でも高校時代の先生から「あなたは字がきれいだから、本を書く人になる」と言われたのを思い出して、自分の離婚の経験を本にしました。それが評価されると同時に、いろんな方から相談が寄せられるようになりました。

佐藤 子どもを連れた女性が一人で生きていくのは厳しかった時代ですね。社会の仕組みそのものが、女性は家族を支えるようにできていました。共働きでも家事は女性の役割、それを放棄した女性は、途端に社会から厳しい目で見られました。

池内 古い時代の日本では、夫の活躍や子どもの出世は、妻、そして母親としての女性たちの犠牲の上に成り立っていたのに、誰も疑問を感じていませんでした。でも私たちは、そうではないと思った初めての世代です。

佐藤 小池都知事のように、男社会の中でも活躍する女性が増えてきました。社会もようやくそれを受け入れるようになってきましたね。

池内 世の中は大きく変わりました。それに伴い、女性の生き方や位置付けも変わらざるを得ません。それまでは家に縛られながらも家に守られていましたが、今は、自由を得た代わりに家は守ってくれません。自分で自らの生きる道を決めなくてはならなくなりました。

日本文化を無視した夫婦別姓には反対

佐藤 安倍内閣は女性活躍推進を前面に掲げています。しかし子どもが小さいときは、預けて働くよりも家庭にいて子育てに専念したいと思う女性も多くいます。

池内 いろいろな考え方があっていいと思います。大事なことは、男女は違うということを認識した上で、男は男らしく、女は女らしく、その良さを互いに尊重し、生かしながら協力しあうことです。これは家事でも仕事でも同じです。

佐藤 夫婦の在り方も変わってきました。LGBTの方でもパートナーの権利が夫婦同様に認められる一方、事実婚や夫婦別姓なども増えています。

池内 世界の20%で、同性婚が認められるようになりました。でも家族というのは子どもをつくって次の世代に引き継ぐという役割もあります。ですから日本は多様性を認めると同時に、養子縁組がしやすくなるような施策も必要だと思います。

 でも私は夫婦別姓には反対です。海外では認められているといいますが、中国の場合は、夫の姓を名乗らせてもらえないという文化的背景があって別姓になっています。そういう文化の違いを無視して別姓を導入するというのはおかしいと思います。

佐藤 相談に乗るときに気を付けていることは何ですか。

20170321IKEUCHI_P02池内 夫婦それぞれの経歴やパーソナリティーを知ることです。夫婦は2つの違う文化がぶつかってひとつの文化をつくっていきます。問題を解決するには、それぞれの文化が分からなければなりません。昔だったら、お互いの釣書を知っている仲人さんが相談に乗っていましたが、今の時代は仲人をたてる人などいなくなりました。だからその役をやろうと。もうひとつは、誰も悪くないということです。家族の問題でどちらかが100%悪いということはありません。その立場でアドバイスさせていただいています。(後編に続く

似顔絵=佐藤有美 写真=佐藤元樹

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