政治・経済

20161004son

ソフトバンクの孫正義社長

退任の徳永順二氏 ソフトバンクの方向転換か

 ソフトバンクの経営企画本部長と渉外本部長という要職を長年務めてきた徳永順二常務執行役員(50歳)が7月31日に退任して周囲を驚かせた。

 同氏はソフトバンクが日本テレコムを買収以来、総務省とのカウンターパートを担当し、制度改正などで活躍。40代で常務に上り詰めるなどソフトバンクの渉外のエースだった。

 総務省の総合通信基盤局幹部も「変化の激しい会社で長くやってきた人なので(急な退職には)少し驚いた」と唐突な感が否めない今回の人事の裏には、他社より安いプランを打ち出して他社のシェアを喰って成長してきたソフトバンクの経営方針が変わったことでシェア漸減に苦しむ現場の焦りが垣間見えてくる。

 ソフトバンクは2016年11月に、販売キャンペーンの告知がおとり広告(景品表示法違反)に当たるとして、消費者庁から再発防止を求める措置命令を受けた。実際には購入できない商品を、あたかも購入できるかのように不当に宣伝したためだ。

 具体的には、ソフトバンクが11月3日から10日間実施したキャンペーンで、腕時計型端末「アップルウォッチ」を1万1111円の特価で店頭販売すると自社サイトで告知。取扱店485店舗と対象のアップルウォッチ86種類を表示した。しかし、消費者庁の調査によると、ほぼ全店舗で、半数以上の種類の在庫がない状態だった。

 ソフトバンク側は「予測を大きく上回る反響があり、要望に応えられなかった」と弁明したが、苦肉の策のキャンペーンが当局に待ったをかけられた上、「いまだにせこいことをやっている」などとネットで書きたてられて、孫正義・ソフトバンクグループ社長も憤慨。当局を抑えられなかった徳永氏も叱責されたという。

 徳永氏はJR東海から日本テレコムに入社、孫社長自ら総務省など官庁に規制緩和を訴えてきた中で、渉外の若手エースとして台頭。NTTが光サービスを企業に解禁する際には、総務省の委員会で「(光サービスと携帯電話の)セット割引きには公正競争上、問題がある」と強く反対するなど、制度分野の論客として知られた。

 「孫社長も目をかけていたと思う」と社員もみていたが、あまりに急な退職には「何かあったのだろうけど……」と口を濁す。エースの退場でソフトバンクの渉外機能の低下が懸念される。

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