多くのビジネスパーソンにとって、スーツを選ぶ以上に悩むのが自分に合ったコートの選び方ではないだろうか。季節に合わせたコート選びの基本と注意点を、プロスタイリストの吉川浩太郎氏が解説する。
吉川浩太郎氏プロフィール
ビジネスマン必見―コートの種類と選び方のポイント
コート選びの基本はスーツと同じ
コートを選ぶ場合もスーツと同じく、着丈や袖の長さ、ウエストラインの見た目などが重要になります。
以前はビジネス用として、以前はひざ下まで丈があるロングコートを着ている方がよくいましたが、ここ数年はひざ上ぐらいまでのセミロングコートが主流になってきています。丈が短いハーフコートなどを着る場合は、コートの下からスーツが出るのは絶対にNGなので気を付けましょう。
襟の形ですが、スーツの襟と同じような形をしたチェスターコートと、後襟が高く前が折り返す形になっているステンカラーコートがあります。
より格式が高く、フォーマル度が高いのはチェスターコートと言われていますが、最近ではカジュアル用に着る人も増えています。
袖の長さは、親指の付け根が少し隠れるくらいを基準にするとよいでしょう。それより長いと、ダボダボで「着せられている感」が出てしまいます。
ウエストラインや腕周りの太さについてはスーツほど気にしない方も多いと思いますが、これらもしっかりとチェックしましょう。
コートはスーツ以上に慎重に選ぶべき理由
ダッフルコートやPコートなど、カジュアル用に購入したコートをフォーマル用でも着る方がいらっしゃると思いますが、着方によっては格好悪くなってしまうので注意が必要です。
たとえばダッフルコートの場合、あまりにも廉価なものだと子供っぽく見えてしまうケースがあるので、難しいところです。外国人モデルなどが着ると似合う場合もあるのですが、総じて日本人は童顔に見られるので、より子供っぽさが際立ってしまうのです。シルエットがスッキリしていて、良い素材を使った高級品でなければビジネス用としては使いにくいでしょう。
逆に、フォーマル用のコートをカジュアルでも着たいという場合もあるでしょうから、両方使いができるという点でも、セミロングは一番合わせやすいと言えます。
ただ、上記はすべて一般論としては言えますが、コートの場合はスーツ以上に、着る人によって似あうか似合わないかが変わってくるので「これは絶対にダメ」と言い切れないところに難しさがあります。
同じ色や形でも、とても似合う人と全く似合わない人がいるので、試着をしたりプロのアドバイスを聴いたりしながら、じっくりと選んでみてください。
ビジネスシーンに意外と使えるスプリングコートの種類と選び方
明るめの色で季節感を出す
3月に以降の温度調整が難しい時期には、ぜひ1着持っておきたいのがスプリングコートです。
スプリングコートは生地が厚すぎず温度調整がしやすいのと、暑いときに脱いで持ち歩いても冬用コートほどかさばらないので、重くないのが嬉しいところです。意外と知らない人も多いのですが、実際に使うと非常に便利なことがわかるでしょう。
素材は綿かナイロンが多く、スーツにはもちろん、ジャケットスタイルにも合わせられる汎用性の高さが特徴です。しわが気になる方はナイロン素材のものを選んでも良いですし、肌障りの良さやさまざまな色を楽しみたいならコットン素材のものを選んでも良いでしょう。
商品を選ぶポイントは、ジャンパーではないのであまりスポーティ過ぎないものを選ぶことです。丈はスーツの上に着ることを想定して、ジャケットの裾が出ないように気を付けてください。ただ丈が長すぎると暑くなることもあるので、ひざ上ぐらいのものがちょうど良いと思います。
ビジネスシーンで着ることも想定すると、あまり派手な色は避けたいと思われるかもしれません。ただ、季節感を出すためにブルーや赤の商品を選んでも、仕事の種類によっては問題ない場合もあります。実際に着てみると、フォーマルスーツににも思ったより合うことが多いのです。
仕事上差し支えなければ、やや明るめの色を選んで春の雰囲気を出してみることをお勧めします。
スプリングコートはどこで購入するべきか
デニムなどカジュアルスタイルにも合わせられるスプリングコートですが、どんな商品ならビジネスで着ても大丈夫なのか、基準がわからない方もいることでしょう。そんなときは迷わず店員さんに尋ねてみてください。
ただ、スプリングコートは、紳士服量販店にはあまり多く置かれていないケースもあります。スーツのついでにスプリングコートも買おうと思っても、選択肢が少ないため、諦めて黒い薄手のコートを買ってしまう、ということにもなりがちです。ぜひそこは、百貨店やセレクトショップまで足を伸ばしてみてださい。
スプリングコートには、マッキントッシュに代表される伝統的なゴム引きコートも含まれるなど、さまざまな種類があります。夏から秋への移行期にも活躍しますので、自分に合った1品を探すのも楽しいと思います。
カジュアル用では、色が真っ黒や紺、素材がナイロンといったコートは着にくく、ウールのコートのほうが合わせやすくはなります。ただ、これも個人差があるので一概には言えないところです。
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