文化・ライフ

牛乳と健康をめぐる議論に、新しい説が浮上!

イラスト/坂木浩子

イラスト/坂木浩子

 突然ですが、あなたは牛乳が好きですか? もし、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり、オナラが出てしまうというタイプなら、そのオナラは無臭だろうか、臭いでしょうか?

 この連載でも何回かご紹介してきたが、「牛乳はアンチエイジングの敵か味方か?」「飲むべきか、飲まざるべきか?」というのは、かなり前から行われてきた議論で、いまだに賛否両論だ。

 だが、最近またまた大変面白い研究結果や解釈が登場してきた。

 そもそも、牛乳に対して否定的な説のトップにあげられるのが、日本人には「乳糖不耐」の人が多いということだろう。確かに、日本人には牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり、オナラという形でガスが発生しやすくなるタイプの人が多い。

 また、牛乳には、乳製品を多く摂る欧米では、動脈硬化が多いという調査結果もあるが、確かに、牛乳に含まれる乳脂肪は、動脈硬化やエイジングの原因になる飽和脂肪酸だ。

 さらに、血糖値コントロールはアンチエイジングを実践する上での重要なポイントのひとつだが、牛乳に含まれる乳糖は吸収されやすく、血糖値が上がりやすい。

 しかし、僕自身は牛乳が大好きなこともあり、どちらかといえばずっと肯定派だ。実際、牛乳を摂取している群のほうが健康で長生きするという疫学研究報告も存在する。

 また、乳糖不耐症は小腸での乳糖分解酵素の働きに問題があるために起こるのだが、大腸の腸内腸内細菌にとって乳糖は素晴らしい栄養源だ。

 腸内細菌は、僕たちの免疫力に大きな影響を与えるほか、ホルモンやビタミンの産生にも深くかかわっていて、そのエサとなる乳糖は、哺乳類のミルクにしか含まれていない。だから、腸内細菌のために牛乳を飲んだほうが良い、という説もある。

 そんな中、新たに牛乳肯定派を後押しする新たな研究成果として話題になっているのが、「牛乳を飲むと、エイジングの元凶である酸化ストレスを抑制する水素が体内で発生する」「しかも、乳糖不耐症の人ほど、水素がたくさん発生する」というものだ。

牛乳を飲むと、大腸内で水素が発生!

 最近は、酸化ストレスが老化の原因になるという「酸化ストレス仮説」も進化していて、酸化ストレスがすべて悪いわけではない、と考えられるようになってきた。

 つい最近も、京都大学の篠原隆司教授らの研究チームにより、「マウスの精子形成においては、ある程度の酸化ストレスが必要だ」という研究成果が発表されたばかりだ。

 もちろん、そのままヒトに適用できる理論とはならないし、慢性的かつ過剰な酸化ストレスは、精子形成にもマイナスになる。しかし、運動は酸化ストレスを生じさせるが、その運動によって男性ホルモンが増大することもよく知られているから、抗酸化サプリメントを摂り過ぎて男性機能が抑えられてしまう可能性については、頭の片隅に入れておいても損はないだろう。

 さて、こうした酸化ストレスをめぐる議論の中で、浮上してきたのが、水素による酸化ストレスコントロールだ。

 水素は、拡散が非常に早い。そのため、ミトコンドリアなどの細胞の小器官にも到達しやすい一方、細胞内でシグナルとして使われる酸化ストレスにはあまり影響しないのでは……と期待されている。つまり、水素は抗酸化サプリメントよりもマイルドかつ適度に抗酸化力を発揮するのだ。

 僕も水素に早くから注目し、眼科領域における研究も進めてきた。その結果、水素水の角膜疾患における有効性が示され、新たな研究も進行中だ。

 ところが、水素水を飲むより牛乳を飲んだほうが、ずっと多くの水素を身体に供給できることが分かってきたのである。しかも、前述したように、乳糖不耐症の人ほど大腸内で水素が大量発生する。消化しきれなかった乳糖が腸内細菌によって発酵し、水素や二酸化炭素のガスを発生させるからだ。

 大腸内で発生した水素は、大半がオナラとして体外に排出されるが、一部は体内に吸収される。僕はこのことを知って、ますます牛乳が好きになった。

 ただし、腸内細菌によってはメタンガスも発生する。臭いオナラが出たらメタン、臭くないオナラなら水素と解釈してもいいだろう。臭くないオナラは健康の証だ。あなたもぜひ牛乳を飲んで、水素のオナラを出そう!

★今月のテイクホームメッセージ★

 牛乳を飲んで体内で水素をつくり、酸化ストレスコントロールしよう!

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