果敢なM&Aを武器に急拡大を続けてきた新ケミカル商事。上田哲則社長は年商1000億円達成に向け、本社に権限が集中している組織の大改編に着手、次なる成長のステージに立とうとしている。

“地方創生”が大きなビジネスチャンスを生む

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新ケミカル商事株式会社
代表取締役社長
上田 哲則  (うえだ・てつのり)

 新日鐵化学(現・新日鉄住金化学)の商社部門として発足した新ケミカル商事は、2006年に北九州市に本社を置く日豊ホールディングスを親会社とする新生「新ケミカル商事」に改組。以来、独創的な経営戦略で建材や化学品、樹脂、肥料などの素材を数多く取り扱ってきた。特筆すべきは同社の驚異的な成長力だ。M&Aをテコにして業容を急拡大させ、新体制発足から10年を経て、当初の売上高の3倍近くとなる年商約700億円達成が見えてきた。

 「商社として社会に認知されるためには売上高1千億円の大台乗せが急務」と語る上田哲則社長は、常に国内外にアンテナを張り巡らせて新たなビジネスチャンスを狙っているが、今、キーワードとして考えているのは地方創生だ。安倍政権の最重要課題の1つである地方創生は日本経済活性化の切り札として、政府も積極的に補助金交付などを通して支援している。

 「南部靖之(パソナグループ代表)さんの講演を聞く機会があり、いいヒントを得ました。確かにビジネス拠点として首都圏は重要ですが、視野を地方に広げることでビジネスはますます盛り上がると思います。企業経営の多くは中央集権的な発想で本社が指示する仕組みを取っていますが、このままではさらなる成長は難しい。それぞれの地域の責任者が主体となって新しい事業を手掛けていけばもっと面白いことがきっとできると思います」(上田社長)

 そのために同社では本社機能を財務と企画に集約した上で地方に移転、事業単位でカンパニー化して権限を大幅に委譲する組織に改正する方針だ。移転先は九州地区、特に北九州市を有力候補として考えている。もともと新日鉄グループをはじめとする取引先企業が多く「地縁・血縁もあって取引先も多い北九州はアジアの玄関口として最適。住みやすく働きやすいので、地元志向の優秀な人材採用の面でもメリットがある」(同)

 本社移転に先駆けて、4月から主力部門の1つである「建材カンパニー」の本部組織を博多に移管する。建材カンパニー以外のカンパニーは九州・大阪・名古屋支店を廃止して「西日本ヘッドクォーター」に変更改組し、機動的な事業運営が行える体制にする。

 「現場が本社の指示待ち状態でいれば、変化の激しいマーケットで置いてきぼりを食ってしまいます。重要なのは、それぞれの地域の責任者が市場の実情を踏まえた一手を講じることです。個々が強くなれば、全体も強化されます」(同)

地方主導のマネジメントが会社を変える

 同社の地方戦略は、海外展開ともリンクしている。北九州は地政学的に中国から東南アジアへと広がるエリアのハブ的存在である。その線上に、化学品や樹脂などを取り扱う上海、香港の現地法人がある。中国向けビジネスは、法規制の壁や人件費の高騰で、多くの日系企業がリスクに及び腰になっているが、「われわれはそう考えていません。現地企業の技術力の向上には目を見張るものがあります。安かろう悪かろうの時代は終わりつつあります。もしも与信管理をはじめ、対中国取引で日系企業に困り事があれば当社が対応します。九州に本部機能を移すことで、従来以上に顧客に対して柔軟なサービスが可能になります」(同)

170124_006_SHINCHEMICAL_P02 アジアでのビジネスではマレーシアでのバイオマス、ハラル関連ビジネスを強化していくが、面白いところではハラルフードの生産販売合弁事業の支援がある。「現地では日本品質の健康食品ともいえる水産加工食品を食べる文化がない分、今後の市場拡大が期待できます」(同)

 企業発展の原動力となる人材戦略は、社内に人材がいなければスペシャリストを積極的に中途採用してきた。この方針を継続、経験豊かな専門家であれば年齢は不問としている。

 地域主導のマネジメントに連動させながら全体の成果に落とし込んでいく組織再編がいよいよ始まるが、上田社長は「これまでの成果に甘んじていては成長がストップする」と気を引き締める。今年のスローガンは「突破」である。

 

新ケミカル商事株式会社

  • 設立/2004年8月
  • 資本金/4億円
  • 売上高/約700億円(2017年3月期見込み)
  • 従業員数/約150名
  • 事業内容/化学品、肥料、建材などの販売
  • 会社ホームページ/http://www.nctcl.co.jp/

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