「金属3Dプリンタ」を投入してプラスチック成形業界に大きなインパクトを与えたソディックは昨年、専用の生産セルシステムの販売を開始した。創業40周年の節目を越え、世界シェア拡大が大きな目標となる。

世界トップシェアを誇る放電加工機の技術開発力

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株式会社ソディック
代表取締役社長
金子 雄二 (かねこ・ゆうじ)

 “世の中にないものは自分たちでつくる”という精神が息づいているソディックは、工作機械、産業機械、食品機械を中心に幅広い製品が揃っている。中でも世界トップクラスのシェアを誇るのが放電加工機だ。自動車やスマートフォンなどの部品を安定した品質で効率よく大量生産するためには金型づくりが最も重要となる。金型づくりにおいて日本は世界をリードしているが、製品によっては普通の鉄よりも硬い超硬合金などを使用することが多く、その金属加工に威力を発揮するのが放電加工機だ。もともとは金属に穴を開ける機械であるが、同社では次々と改良を重ね、電極が消耗しない「電極無消耗回路」を発明したり、ワイヤ―放電加工機の加工液を従来の水から油に変更し、加工物の腐食や、サビを抑えるなど、常に最新技術を開発し変革に取り組んできた。

 技術革新が目覚ましい自動車産業や家電業界、電気電子部品業界では、より精巧、精密な金型が求められているが、それらの需要に対して14年に販売したのが「金属3DプリンタOPM250L」で、すでに高い評価を得ている。

 プラスチック製品の成形加工に使用される金型づくりは冷却が重要になる。複雑な形状だったり、高精度が求められる加工ではわずかな冷却ムラが品質に影響する。この問題を解決するために金型を複数の部位に分けていたのだが、これは時間もかかりコストも上がってしまう。そこで考えたのが、1つの部品で金型をつくってしまうことだ。「OPM250L」で造形加工すれば内部の冷却配管を自由に配置できるので金型の冷却ムラもなく、製造のリードタイムも半分以下に短縮できる。

 しかし金属3Dプリンタによる金型製作は、発想としては昔からあったものの、みがき工程での仕上がり品の表面精度が安定せずなかなか実現しなかった。それを同社の「OPM250L」ではみがき工程後においてもプラスチックレンズをつくれるまでに表面精度が向上している。

「金属3Dプリンタ」とセル生産システムが一体化

 発売以来、日本をはじめ海外でも着実に売れているが、昨年11月には第2弾として大型の造形物も製作できるサイズであるワンランク上の「OPM350L」を発売、用途先は航空機分野まで広がった。それに加えて注目すべきは同時に発売したOPMシリーズ専用の射出成形機や周辺設備をワンパッケージにした生産セルシステム「MR30」だ。

日本国際機械見本市(2016年11月、東京ビッグサイト)の自社ブースの前にて

日本国際工作機械見本市(2016年11月、東京ビッグサイト)の自社ブースの前にて

 金子雄二社長は「OPMシリーズでつくった金型をカセット型にしてMR30に装着するだけで、そこには必要な乾燥機や粉砕機、温調機などの機械が装備されているのでこれ1台で簡単に成形加工ができます。金属3Dプリンタと専用セルシステムをセットにすれば、製造のリードタイムが大幅に短縮されてコストが削減できると同時に成形品の歩留まりも向上します。世の中のものづくりが大きく変わる画期的な製品で、プラスチック成形革命がさらに進化すると確信しています」と語る。

 加工精度を高め金型づくりに大変革を起こしたOPMシリーズであるが、射出成形機の領域まで踏み込んだのは、最終的な製品づくりに至るまでのトータルのメリットをユーザーに享受してもらいたいためだ。OPM金型を短納期でつくっても、成形工程において専門的な知識や経験がなく、周辺機器を含む生産設備がOPM金型の特徴を最大限引き出すものでなければ無駄になってしまう。しかし専用の生産システムを新たに設備するのも難しい。そこで「OPMシリーズ」に対応したコンパクトな単位の生産セルシステム「MR30」を開発したのだ。

 「今、プラスチック成形品を扱っている子会社が、車載用コネクタ部品などに実際に使い始めているのですが、確実に成果が出ています。MR30では成形データと周辺機器データを一元管理できるのでIoT機能を使ってグローバルな生産管理も可能です」(金子社長)

 独創的な技術力を背景に放電加工機では世界トップクラスのシェアを誇るが金子社長は「世界シェアを現状の3割から4割に上げ、世界でも認められる会社にしたいですね」と語る。

 

株式会社ソディック

  • 設立/1976年
  • 資本金/207億7575万円
  • 連結売上高/651億4600万円(16年3月期)
  • 従業員数/3250名(連結)
  • 事業内容/工作機械、産業機械、食品機械などの製造販売
  • 会社ホームページ/http://www.sodick.co.jp/

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