菅義偉官房長官の総務省支配力が強まっている。総務副大臣、総務大臣と3年間にわたって総務省で権勢を振るった後も総務省に厳然とした影響力を及ぼしてきたが、経済再生を基軸に据えたアベノミクスの失速とともに安倍政権において、総務省を牛耳る菅官房長官の存在感がいよいよ増してきた。
安倍首相が昨年9月に「家計負担における携帯電話料金は大きな課題だ」と発言したのを機にスタートした携帯電話料金引き下げ論議。その仕掛け人が菅官房長官だったのは永田町では知る人ぞ知る事実だ。
菅官房長官が昨夏、消費拡大策の弾を探していた際に桜井俊総務事務次官との間で、携帯電話料金の低廉化がいける、と算段をつけたのが発端だった。菅官房長官は総務副大臣および大臣時代に電波部長、電気通信事業部長だった桜井次官を高く評価。桜井事務次官誕生の伏線になったと見る向きもある。
日本郵政の西室泰三社長が長期間検査入院していることで進退が取沙汰されているが、後任人事でも菅官房長官が早くから動いていた。最初は東芝不正会計問題が浮上した時だった。日本郵政社長に就任後も相談役として東芝に大きな影響力を及ぼしてきた西室氏にも「責任追及は避けられない」(自民党議員)として、菅官房長官が経団連と日本郵政に後任人事案を求めた。
元総務事務次官の鈴木康雄日本郵政副社長が持参した候補者案は社内からの昇格案だったが、菅官房長官は首を縦に振らなかったといわれる。経団連の候補者選びも不調で、その後東芝問題も落ち着き、日本郵政グループの株式上場という重要課題が迫ったことから進退問題はいったん消えた。しかし、今回の検査入院によって再燃。菅官房長官が実権握る後任人事の行方が注目されている。
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