経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

東京を変貌させる高級ホテル戦争

五輪と共に変わる赤坂・虎ノ門エリア

赤坂、虎ノ門エリアのホテルと東京オリンピックの縁は深い。1964年の東京オリンピック開催を契機に誕生したこのエリアのホテルは、60年のホテルニュージャパンの誕生を皮切りに、62年ホテルオークラ、63年東京ヒルトンホテル、そして64年東京プリンスホテルと、ホテルニューオータニがある。

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その後50年以上がたち、ホテルニュージャパンはもう跡形もなくなっているが、東京ヒルトンは改称し、2010年にはザ・キャピトルホテル東急として生まれ変わっている。

また、ニューオータニも御三家のひとつとしてその格を守り続けている。そのニューオータニ東京と向き合う旧グランドプリンスホテル赤坂跡地には、ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町がこの7月27日にオープン。同系列の東京プリンスホテルも今年4月から1年間の休業に入り、耐震の補強がなされて来年、再オープンの予定だ。

現在、64年の東京オリンピック前と同じように、20年に向けて活発なホテル開発が始まっている。なかでも虎ノ門エリアは、国際的な経済拠点となるべく変貌を遂げている。19年には森トラストが手掛ける「虎ノ門トラストシティ・ワールドゲート」が完成する。地上36階の建物にはホテルも入る予定で、インターナショナルなブランドが誘致される予定だ。

そして、もうひとつ、15年の夏に惜しまれながら建て替えに入ったホテルオークラ東京の本館が戻って来る。

伝統文化が香る新生「ホテルオークラ東京」

「オークラ・ランターン」や椅子を花弁に見立てた「梅の花のテーブルと椅子」など、伝統的な和のデザインが愛され、多くのアーティストやデザイナーが定宿として使っていたホテルオークラ東京本館。特に建築家の谷口吉郎氏が手掛けたロビーは人気が高く、昨年の本館の建て替えが近づくにつれて、世界中から建て替えの中止を求める声が上がるほどだった。

そして、2019年の春に誕生する新しい本館にも、あのロビーが帰ってくることが決まっている。具体的には、新本館のロビーの中に旧本館のロビーを復元した部分があるということだそうだ。手掛けるのは、谷口吉郎氏の子息で、建築家の谷口吉生氏。オークラ・ランターンはもちろん、梅の花のテーブルと椅子や、古いオランダ製の海図をもとに考案された世界時計などが再び利用され、懐かしくも新しいロビーがよみがえる。

ホテルオークラの面白さは、卓越したデザインだけではない。開業以来、米国をはじめとしスペイン、スウェーデンといった大使館が近隣に多いこともあって、多くの外国人が宿泊、利用する国際的なホテルだった。インバウンドといった言葉がまだポピュラーではない時代にも海外の顧客が占める比率は約7割と、むしろ最近のほうが日本人客の割合が高いそうだ。現在はちょうど半々といった割合に落ち着いているようで、インバウンドで活況を呈するホテル業界とはまた違った流れがこのホテルにはある。

新本館の概要は、地上38階、地下6階、客室数は550室のホテルとなる予定で、かつてのロビーも再現されることは述べたとおりだが、ほかにもメザニン(中2階)や天井のデザインなども再現される。旧本館を愛した人たちも、今や遅しと、その日を待ちわびている。

ブランド勢ぞろいの東京駅周辺・銀座

かつて東京駅の周辺や銀座のエリアにホテルは少なかった。時は流れ、今や東京駅周辺は世界を代表するブランドが進出したエリアになっている。

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東京駅の八重洲側にコートヤード・バイ・マリオット東京ステーションもオープンして2年がたつが「稼働率は平均90%で、想定基準を超えている」(新宮千裕総支配人)と好調が続く。同じ年には、銀座にミレニアム三井ガーデンホテル銀座が、丸の内に世界でも有数のラグジュアリーリゾートのアマン東京も進出してきており、個性的なホテルも目立つ。さらに、今年7月20日には、都市型旅館「星のや東京」のオープンが決まっており、今最も熱いエリアだ。

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