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在外インド人(NRI)はインドのどこに投資したいのか?

在外インド人からは毎年700億ドルが国内還流

 2015年に国外に居住するインド人は2500万人で、国外移住人口としては世界最大だ。米国、英国、オーストラリア、シンガポールなどがインド人の主な移住先で、移住目的は、学問、ビジネスなどとなっている。

 アメリカ国勢調査局は、在米インド人世帯の平均年間所得は、国の平均である3万8885ドルに対して、6万ドルであると推定している。在米インド人の年間購買力は250億ドルと推定される。インド人は、米国内の低価格ロッジの50%、ホテルの35%を所有しており、その市場価値は約400億ドルに上る。

 米国のインド人の9人に1人がミリオネアであり、米国のミリオネアの10%にあたる(03年Merrill Lynch SAマーケット調査)。

 カリフォルニア大学バークレー校の調査では、シリコンバレーで働くエンジニアの3分の1がインド系であり、シリコンバレーのハイテク企業の7%はインド人がCEOである(Silicon India Readership Survey調べ)。

 インド人は、他のアジア系と同じく、米国内の民族グループの中で最も高度な学歴を有している。全インド人の約67%が学士以上の学位を所有している(国全体では28%)。全インド人の約40%が修士号、博士号またはその他の専門的学位を所有しており、これは米国の平均の5倍だ(政治意識に関するインド系アメリカ人センター調査)。

 英国におけるインド人移民コミュニティーは、現在第3世代を迎えている。在外インド人(NRI)は非常に成功しており、かつてはバスの車掌、ウェイター、小売店主などであったのが、現在では医者、法律家、会計士、成功したビジネスパーソンなどになっている。

 毎年、在外インド人から、インド国内の家族向けやその他の目的で、およそ700億ドルがインド国内向けに送金される。インドは、自国民からの最大の外貨送金受取人ということになる。

不動産市場に流れる在外インド人からの投資

 NRIの所得が大きく増えたことで、インド政府は、国内の多くのプロジェクトにNRIからの投資を呼び掛けており、その内の部門のひとつが不動産部門だ。

 インドの不動産市場は近年、持続的に成長し、不動産物件の価格は記録的高値に達した。このことは、インド経済の成長を後押しする巨額の投資を引き起こし、不動産部門は、国内で2番目に多く従業員を雇用する部門となった。

 FEMA(外国為替管理法)およびインド準備銀行(RBI)の規則緩和によって、NRIにとってインドへの投資が容易になった。税金関連も緩和され、住宅ローンの利子がNRIの課税対象所得から限度額なしで控除可能となった。

 インドで不動産物件を持つことは、米ドルとインドルピーの換算率のお陰で大きな投資を行う必要もないため、NRIにとってビジネスの観点からも利益がある。NRIによるインド国内への投資は35%に増加する見込みだ。

 最近の調査によると、不動産物件に投資するNRIは、デリー首都圏、チャンディーガル、アフマダーバード、プーネ、ムンバイ、コルカタ、バンガロール、ハイデラバード、チェンナイおよび他のTier2都市への投資に熱心なようだ。

国内でのキャリア獲得へ在外インド人もUターン

 近年、海外に移動するインド人の傾向が逆転し始めた。多くの在外インド人は、インド国内でも同じようにキャリアの機会があると考えているため、インド国内に戻りたがっている。インドが新規起業に適した場所になり、多くのベンチャーキャピタルを引き付けているため、多くのNRIはこの分野で生じる機会を掴むことに熱心だ。

 ルピーが下落していることもあり、不動産は在外インド人にとって利益の見込める投資オプションとなった。また、市場の活況度に関係なく、多くのNRIは、インドに戻って自らの場所を見つけたがっている。

 お金の投資とは別に、最近では時間への投資も役割を担っている。多くのNRIの間で社会的な意識が高まり、自らの母国に奉仕したいという機運が高まっている。

 14年に行われた選挙における意識向上キャンペーンに多くのNRIが積極的に参加して、友人や家族に投票を呼び掛けたことは良く知られている。しかし、それがすべてではない。巨大な多国籍企業で働く技術者で、最近日本から帰国したインド人の友人A氏は、

 「私はSwachh Bharat Campaign(クリーンインディアキャンペーン)に積極的に参加し、貢献したい。日本の清潔さに感銘を受けた。自分の国も同じように清潔になってほしい」と言っている。

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