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電子マネーで変わるインドの商取引の未来

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高額紙幣廃止によりインドで電子マネーが急速に台頭

 インド経済は、これまで本質的に現金を基盤とした経済だった。

 人口の大部分は依然として銀行口座やクレジットカード、デビットカードがないため銀行を利用できず、テクノロジーを基盤とした金融サービスを十分に利用できなかった。

 この5カ月間ほど12億人の人口を抱えるインドではキャッシュレス化が声高に叫ばれたが、これは過去になかった。

 2016年11月に行われた高額紙幣廃止のプラス効果のひとつは、クレジットカード、デビットカード、オンラインでの送金・支払い、電子マネーの使用、デジタル商取引アプリなど、現金に替わる代替的支払方法を使用する必要性が生じたことだ。

 さまざまな電子決済によってインドにおける生活の困難さが少し緩和された。

 インド政府および中央銀行は、銀行取引や支払いサービスを全国民が利用できるようにすることに非常に重点を置いている。

 電話会社(モバイル機器による金融サービスを提供)やその他のベンチャー企業などのノンバンク系の企業は、既に今回の通貨廃止期間における突然かつ大量の需要によって利益を得始めている。

 電子決済産業は急速に成長しており、インドの個人消費支出、都市化および電子化を後押ししている。

 従来、決済サービスの分野では銀行が中心的な役割を果たしてきたが、電子決済や電子送金の分野にノンバンク系企業が積極的に参入することで状況は大きく変化しつつある。

 インドにおける決済の電子化を推進する重要な要因は、スマートフォンの普及、電子商取引の成長、コンピューターリテラシーの向上、インターネットやブロードバンドの利用、そしてそれらを後押しする規制などだ。

 プリペイド式電子財布の運営会社は、最近、広範囲で採用されており、かなりの消費者基盤を築いた。

 インド全国の主要な電子財布運営会社が有するストアドバリュー型(価値保存型)の電子マネーアカウント数は、短期間に合計で1億1700万アカウントにも上っている。

 電子マネーは、電話会社のリチャージや料金支払いといった基本的サービスから始まったが、現在では、ほとんどの人気オンライン業者の支払いオプションとして利用することができるようになった。

電子マネーはセキュリティーの強化が課題に

 電子マネー企業の次の重点分野は、従来型の小売業者に電子マネーでの支払いを受け入れてもらう物理的インフラをつくることだ。

 電子マネー企業は、商取引を簡素化し、需要を増やすためにさまざまな販促用オファーを組み合わせた。

 大きな消費者基盤のお陰で電子マネーは、商取引業者の商取引量を増やすことが潜在的に可能であるため、インドの主要な電子商取引業者は、大手電子マネー企業と提携している。

 ニーズが非常に大きいため、小規模な小売店や青果店でさえも顧客に対して電子マネーでの支払いを促している。

 現在、商品の購入を容易にする方法がほかにないため、多くの市民が電子マネーのようなプラットフォームを選択し、そのことが電子マネーをベースにしたモバイル用アプリケーションのダウンロード数が急増する結果となっている。

 現在はこれらの電子マネーの機能面ではいくつかの抜け穴があり、フィッシングやサイバー犯罪の対象となることが多いため、電子マネー企業はセキュリティーを強化する必要がある。

 セキュリティーを強化することが、現在は電子マネーのメリットに懐疑的な人々の間でも信頼性を得る手助けになるだろう。

 サイバーセキュリティーとは別に、データプライバシーの問題もある。

 高速インターネット接続やモバイルインフラは、インドで電子決済・電子マネーを促進するための課題であると見なされている。

 地方を含むすべての若者が新しい商取引の形態を歓迎している。

 インドでは日本のSuicaのようなイメージで、電子マネーをチャージしていくことができるが、まだタッチのみで簡単決済までにはまだ時間がかかる。

 電子決済をサービス提供している会社の最大手Paytm社は20年までに5億人の利用を見込んでいると発表。

 ちなみに、中国のIT大手アリババ社は、インドのPaytm社の40%の株式を保有している。

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