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好景気の期間は長くとも勢いに乏しい「いざなぎ超え」
内閣府は6月15日、景気の拡大や後退を判断する景気動向指数研究会(座長=吉川洋・立正大教授)を約2年ぶりに開き、安倍晋三政権が発足した2012年12月に始まった景気拡大が続いている可能性が高いとの見方で一致した。
今年4月までの拡大期間が53カ月に達し、戦後3番目の長さになったことを確認した。もっとも足下では、賃金が十分に伸びないことなどから消費意欲は低く、「実感なき景気拡大」が続いている。
景気の拡大局面は今後も続くとみられる。9月まで続けば58カ月に達して「いざなぎ景気」(1965~70年、57カ月)を抜き、戦後2番目の長さに達する。
会議で分析したのは、14年4月の消費税増税を機に景気の拡大が後退に転じなかったかどうかだ。雇用や企業収益が好調だったため、後退への転換点を示す景気の「山」の認定は見送った。足下についてはデータの蓄積がなく正式に判断しなかったが、「明確な景気の下降がみられない」との認識で一致した。
場合によっては、「戦後最長」も視野に入る景気拡大だ。ただ、消費者からは「景気回復が現実味をもって感じられない」との声も上がっている。
というのも16年の勤労者世帯(2人以上)の消費支出は月平均30万9519円と、12年の31万3874円を下回った。毎月勤労統計によれば、今年4月の1人当たりの現金給与総額は27万5321円にとどまり、12年4月(27万2420円)と比べ、わずか1%ほど増額したにすぎない。
毎年度の実質経済成長率をみても、13年度以降は最大2.6%にとどまっている。高度経済成長のころと単純に比べることはできないが、10%を超えることもあった「いざなぎ景気」より、勢いを欠いているのが実情だ。
賃上げを着実に進めるにはどうしたらいいか、消費意欲を冷やしているとされる社会保障への不安をどう解消すればいいか。こうした問題に、官民挙げて真剣に取り組む必要がありそうだ。
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