職業――エバンジェリスト。
名刺を見ると、その珍しい肩書きが真っ先に目を引く。日本マイクロソフト業務執行役員の西脇資哲氏は、日本におけるエバンジェリストという存在の草分けだ。
西脇氏が語るエバンジェリストに必要なことは「思い」を伝える
エバンジェリストとはキリスト教における「伝道者」の意だが、それが転じて最先端のテクノロジーやIT環境について、分かり易く伝えるポジションを指すようになった。
西脇氏の場合は、以前の職場で業務用アプリやシステムの開発などを手掛けるうちに「自分自身が作成したアプリケーションや構築したシステムを、多くの人たちに知ってもらいたい」という気持ちを強く持つようになったのが、エバンジェリストという役割に興味を持ったキッカケだ。
「伝えることや、最新IT技術の素晴らしさを体験してもらいたいという思いで一所懸命に活動してきて、結果としてエバンジェリストという職業に到達しました」と言う。
「伝える」専門家としてのスキルは、エンジニアとしての付加価値にもなる。多くのエンジニアにとって、エバンジェリストがキャリアの選択肢に加わってほしいと、西脇氏は考えている。日本マイクロソフトから「エバンジェリスト」を正式な肩書として付与された同氏は、個人の活動を奨励する同社の方針の下、活動の幅を広げている。
エバンジェリストに求められるのは、テクノロジーに関する深い知識だけではなく、それを人々に分かり易く伝えるプレゼンのテクニック、高いコミュニケーションスキルなど。さらに、未来の社会状況や技術動向を見通す洞察力も必要だ。技術革新のスピードが以前とは比べ物にならないほど加速している状況においては、ますます重要な存在になってくるだろう。
「AIのような最新のITが世の中をどのように革新していくのか、ドローンなどの新しい分野がどんな世界を創ってくれるのかなど、常に未来を取り込み広めていきたいと思っています」と、西脇氏は語る。
エバンジェリストの役割は、人々に分かり易く伝えるだけでは不十分とも言える。西脇氏がこだわっているのが、伝えた相手が実際に行動を起こしたかどうかという部分だ。現在と違い、SNSが発達していなかった時代からエバンジェリストとして活動していた西脇氏だが、当時から数多くのセミナーや著作を通じて、口コミで影響力を大きく広げていくことに注力していた。
「商品を購入してくれた、知人・友人を誘ってくれた。応援してくれた。毎回セミナーに足を運んでくれた。投資をしてくれた。仲間になってくれたなど、全てのことが印象に残っています」という。
エバンジェリストという存在は、今やIT業界でなくあらゆる分野で求められるようになった。その存在意義について西脇氏はこう説明する。
「企業や団体は、自分たちがもっている製品やサービス、あるいは価値、戦略や情熱、存在の意味などを知ってもらう必要があります。具体的にどういうものであって、どういう体験ができて、どう興奮するのか。そしてそれを多くの人々に広める必要があります。ただ単に伝えるだけではなく、相手に「魅力的である」と理解してもらい、行動に移せるような活動をすべきと思っています」
開催期間:2018年4月12日、5月10日、6月7日、6月28日(計4回コース)
講師:西脇哲資(日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員・エバンジェリスト)、上村嗣美(株式会社サイバーエージェント 全社広報室 シニアマネージャー兼広報責任者)、菅本 裕子(モテクリエイター)他
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