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老眼対策に1日使い捨て遠近両用コンタクトレンズが流行りそうな理由

2020年には女性の国民の半分が50歳を上回る高齢化時代に、間違いなく必要となる隠れたヒット商品をご紹介します。年齢を重ねてもメガネをかけたくないという女性が多い中、その不満を解決する「1日使い捨て遠近両用コンタクトレンズ」です。

日本人の老眼対策は今どうなっているか

男性に比べ進んでいない女性の老眼対策

国立社会保障・人口問題研究所調べでは、2020年には日本の女性の半数が50歳以上となります。5年後には全国民の1/3が年金受給者となる65歳以上、16年後には国民の半数が独身者になると予測される超高齢化が迫ってきています。

そんな中で、歳を重ねると視力の衰えが際立ってきて、40代以降には近くが見えなくなってくる、いわゆる老眼が始まってきてしまいます。今までその対処方法としては、男性はメガネを掛けるなどしてきましたが、女性は顔の雰囲気が変わってしまうのを恐れてか、近くが見えにくくなっても、あまり対策をしていないように思われます。

女性の老眼対策としては、近くを見るときだけに老眼鏡や遠近両用のメガネを掛ける、または通常の近視用コンタクトレンズの度数を下げて、遠くは見えにくいものの、近くが見えやすくなるように工夫する、といったことでしのいでいるのが現状のようです。

なぜ今、遠近両用コンタクトレンズなのか

そこへ、昨今市場を賑わせてきているのが「1日使い捨て遠近両用コンタクトレンズ」です。以前にも存在はしたものの、装用が2週間であったり、性能が今あまり思わしくなかったりして大きくブレイクしていなかったようですが、最近の遠近両用コンタクトレンズは非常に高性能となっています。その結果、かなり多くの人が遠近両用コンタクトを装用するようになりました。

筆者は近視用コンタクトを30年以上にわたって使ってきましたが、現在は遠近両用コンタクトレンズを使用しています。性能が昔よりも格段に良くなって、ほとんど違和感なく使えるまでに完成度が上がってきています。普段はメガネを使っているのですが、休日や体を動かすときなどには「1日使い捨て遠近両用コンタクトレンズ」を装着するという使い分けを行っています。

メーカー各社がさまざまな工夫をしているため、その人に合った商品の使用が前提となりますが、歳を取ると目の異常などが気になるため、一日使い捨ての商品がお勧めです。

使い捨てコンタクトレンズ

高齢者にこそ勧めたい1日使い捨て遠近両用コンタクトレンズ(筆者撮影)

コンタクトレンズメーカー各社の人気商品

各社のコンタクトレンズの比較をしてみると、どのメーカーもさまざまな工夫をしていますが、スマホやPC画面など近くを見る時に焦点が合わせやすく、夜間や暗い場所でも快適で安定した見え方を目指している点は同様です。

国内メーカー勢では、北川景子さんのテレビCMで有名な「ワンデーピュア」、カラーレンズ「アイコフレ」を販売しているシード社の「マルチステージ」、メニコン社の「トーリック」、海外勢では、スイスのアルコン社の商品「デイリーズトータルワンマルチフォーカル」、米クーパービジョン社の「プロクリアマルチフォーカル」、米ジョンソン・エンド・ジョンソン社の「アキュビューモイストマルチフォーカル」が代表的なブランドとなります。

遠近両用コンタクトレンズの性能、価格、特徴は?

使い捨て遠近両用コンタクトレンズの性能

それぞれの商品の特徴は省きますが、各社とも開発にしのぎを削って拡販しています。

筆者は全国的に有名なコンタクトレンズチェーン「アイシティー」で眼科処方をもらって購入しています。

実際に遠近両用コンタクトを装用すると、驚くほど遠くも見えるし、スマホやPC画面も良く見えます。普段メガネをしているせいか、装着していることを忘れて鼻当てに人差し指を掛ける動作をしてしまうほど装用感が良いのです。また、近くを見るときにメガネを外さなくても良いと言う便利さを享受できています。

遠くを見る部分と近くを見る部分の度が違っているので、遠近メガネのように顎を上げて近くの物を見るということもなく、驚くほどの便利さを実感できています。

メーカー各社の使い捨てコンタクトレンズ

メーカー各社の使い捨てコンタクトレンズ(筆者撮影)

レンズの度数測定はどうなっているのか

レンズの度数について、近視用はマイナス表記の数値になるのですが、遠近両用は近くを見るためのプラスの数値が必要になってきます。

近視だけだと、例えば度数-3.0といった具合になりますが、遠近の場合は遠くを見る用で-3.0、近くを見る用で+1.25など、2つの度数表記となります。このため、眼科で測定する際には、近くと遠くを見るのにそれぞれ最適な度数を測定する必要があり、多少面倒であるのが難点ではあります。

ただ、そのひと手間を考えても、迷わずに遠近両用のコンタクトレンズを検討することをお勧めします。特にメガネを避けたい女性にとっては、遠近両用メガネをしなくて済むとともに、視界を若返らせられる点は大きな魅力となるでしょう。

使い捨て遠近両用コンタクトレンズの価格

遠近両用コンタクトレンズは、年齢を重ねてきた人の視界不良に対する不満を解消できる商品という意味で、生活の質を向上できるツールとして非常に便利な商品だと思います。

一方デメリットは、メガネと比べて費用かかさむことです。価格はメーカーによってさまざまで、一箱30枚入り程度で3千円から6千円までと、バラエティーに富んでいます。

ただ、筆者の感想としては、価格に十分見合った費用対効果の高い商品なので、自分に合ったレンズをひとつ作っておくと非常に便利だと考えます。使い捨てをもったいないと感じるか衛生的で目に優しいと感じるかの問題はありますが、一日当たりにすれば、ペットボトル飲料1本分くらいの値段ですから、それほどの負担ではないのではないでしょうか。

売り場担当者に話を聞くと、最近は遠近両用コンタクトレンズを求める働き盛りの人が増えているとのことです。

働き盛りないしは少し上の年齢の人たちの生活の質を向上させるという点と、医師が検査を行って現場処方で購入するという点を考慮すれば、処方薬と同じように保険で3割負担などにしても良いのではないかと個人的には感じます。

※コンタクトレンズは高度管理医療機器のため、装用するためには必ず眼科医の指示を受ける必要があります。取扱方法書面通り装用時間・期間を正しく守り、正しく使用することと、眼の検査、検診を必ず受ける必要があります。

※筆者の過去記事はこちらから

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山本康博(やまもと・やすひろ):

ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役、ブランドマーケッター。日本コカ・コーラ、JT、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本製作。1年以上継続した商品を計算すると打率3割3分、マーケティング実績30年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や連載寄稿、企業研修、大学等でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、英語著書『Stick Out~a ninja marketer~』(BVC)など。

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