今やシステム開発の現場で欠かせないITS(プロジェクト管理システム)/BTS(バグ管理システム)。この分野で世界的に高いシェアを持つ「JIRA」を開発するアトラシアンのジェイ・サイモンズ社長に話を聞いた。
-- 大人数、複雑化するシステム開発の現場で「JIRA」は欠かせないツールですね。
サイモンズ 昔のシステム開発はまず仕様書を書き、それから開発に取り掛かかるという流れでした。この流れでは開発の途中でのシステム変更、バグの修正が起きると、開発全体が遅れることがよく起きます。それでも良い場合もありますが、例えばリリースの速さが利益を生むゲームアプリの開発には適してはいません。
今のシステム開発は役割分担を決め、〝開発しながら開発する〟という流れになっています。その流れを管理し、効率化するツールが当社の「JIRA」に代表されるITS/BTSツールになります。
いろいろなツールがありますが、当社の「JIRA」はシンプルな操作と直感的なワークフローの作成が強みです。また、〝ガラス張り=見える化〟の仕様になっていますので、例えば誰がバグを発見し、誰が修正し、誰が検証したか明確に分かります。誰でもワークフローを確認することで進捗状況を理解できるシステムとなっています。
-- ユーザーの多くがシステム開発だけではなく、他部署でも活用されていますね。
サイモンズ システム開発に限らず、ほとんどの部署の仕事が「JIRA」によって〝ワークフロー化と見える化〟が可能ということです。
業務の効率化、コミュニケーションツールとしてグループウェアやSNSがありますが、「JIRA」のようにプロジェクトを基準にしたものではありません。また、バグをビジネス上の交渉やトラブルと置き換えれば、誰と交渉し誰が対応したか、どこで問題が起きどうやって解決したか、〝ワークフロー化と見える化〟ができればプロジェクトの問題点を見つけることもできるはずです。
-- 会社組織でありがちな弊害も改善できそうですね。
サイモンズ なぜプロジェクトがいつも進まないのか、その理由が「JIRA」の〝ワークフロー化と見える化〟で見えてきます。理由が分からず、プロジェクトが進まない、止まってしまうなどがあると現場のモチベーションは上がりません。
誰が賛成、反対し、どんな意見を言い、どこで滞っているのか、そしてその理由は何か……、〝ワークフロー化と見える化〟によって会社組織の中で見えなかった〝バグ〟があぶりだせるかもしれません。
【会社データ】
設立/2002年
従業員/800人
売上高/1億5千万㌦
所在地/オーストラリア・シドニー
http://www.atlassian.com/ja/