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「“総理大臣の孫”の威光を 自分の色の光に変えていきたい」―中曽根康隆(自由民主党衆議院議員)

ゲストは、自民党・衆議院議員の中曽根康隆さん。昭和時代の日本の顔として第71-73代総理大臣を務めた故中曽根康弘氏のお孫さんです。10月に合同葬を終え、偉大なおじいさま、お父さまに続き、同じ政治家の道を歩む康隆さんに、その思い出と現在の取り組みについて伺いました。構成=大澤義幸 photo=市川文雄(『経済界』2021年2月号より加筆・転載)

中曽根康隆氏プロフィール

中曽根康隆
(なかそね・やすたか)1982年東京都生まれ。2005年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。米コロンビア大学国際公共政策大学院修了。13年父親の中曽根弘文事務所で私設秘書。17年第48回衆議院議員総選挙初当選。祖父は元首相の中曽根康弘。

祖父の合同葬に深い感謝
一族の名に恥じない政治家に

佐藤 2020年10月に「故中曽根康弘」内閣・自由民主党合同葬儀に参列しました。康隆さんのおじいさまの中曽根元首相は群馬県の材木屋に生まれ、軍人として戦争を経験し、戦後の日本を強いリーダーシップで引っ張ってきた王道の政治家です。その功績をたたえる厳かな葬儀でしたね。ご遺骨を持つ康隆さんの姿にも胸を打たれました。

中曽根 ご参列ありがとうございました。合同葬は閣議決定され催されたもので、遺骨は二階俊博自民党幹事長が自宅までお迎えに来られ、私と父の弘文(自民党・参議院議員)がお出迎えしました。私は会場で遺骨を運ぶ役目を仰せつかり、数百人もの陸・海・空自衛隊の方たちが祖父の遺骨に敬礼する姿に感動しましたし、本当にありがたかったです。

佐藤 康隆さんから見ておじいさまはどんな政治家でしたか?
中曽根 同じ家で暮らしていたので思い出はたくさんありますが、祖父が現役の総理大臣だった頃は私が幼く、実際にどんな総理だったのかはよく分かりません。歴史の教科書や周りの話から学ぶ限り、祖父は国際社会での日本の役割と地位を常に考えていた、スケールの大きな国家観を持つ政治家だったと思います。

佐藤 今の日本があるのは中曽根元首相の長期政権があったからこそ。一国民として感謝しかありません。経済界創業者で私の父の正忠とも深いご縁があり、おじいさまが科学技術庁長官の頃に出会い、可愛がっていただきました。父の著書『学生記者』(1973年発行)にもそう書かれています。父の葬儀には弘文さんにご参列いただきましたが、おじいさまとお父さまは似ていますか?

中曽根 違うタイプですね。祖父はリスクを取って道を切り開くパイオニア。父は祖父が総理大臣のときに政治家になり、大きなプレッシャーの中で、祖父のやり方を継承しつつ自分の色を出していった政治家です。私は幼少期から「総理大臣の孫」と呼ばれていて、「自分の名前は『孫』じゃない。康隆だ」というアイデンティティを強く意識していました。でも今は祖父の偉大さがよく分かりますし、「総理大臣の孫」という立場を生かして自分の政治家としての道を切り開き、自分の色の光に変えていきたいですね。

中曽根康弘
合同葬の祭壇

今こそ憲法改正を議論すべき 少子化対策や教育改革も急務

佐藤 政治家として康隆さんが今、特に力を入れていることは?
中曽根 外交と少子化対策です。日本は戦後、国防は米国に任せて経済成長に注力したことで、強い経済力を持ちました。現在は東西冷戦や自由・共産主義の時代ではなくなり、日本が世界でどんな役割を担い、存在感をどう出していくかが国内外で注目されています。従来の米国依存の関係の見直しや、GHQの頃から変わらない憲法改正の議論も必要です。これからは国民による国民のための国民の憲法を作るべきです。

佐藤 少子化対策については?

中曽根 今後も高齢者が増える中で、今支えられる側にいる高齢者が元気になって支える側に回る、女性や外国人を増やす、AIで生産性を代替させるなどのやり方もありますが、根本的には子どもを増やす以外の解決策はありません。政府は2025年までに出生率1・36を1・8まで上げる目標を掲げていますが、少子化対策は停滞しています。国家予算102兆円のうち、年金・医療・介護等を含む社会保障は36兆7千億円ある一方、子育てを含む少子化対策費は5兆8千億円しかない。原因は結婚、出産、子育てのどこにあるのかを探り、予算を確保・配分し、戦略的に使う必要があります。

佐藤 日本は教育費が高く、医大志望の子どもがいても、裕福な家庭でなければ行かせられません。また、東京住まいの夫婦が子どもを大学に進学させるときに、世帯年収1千万円でもぎりぎりです。その点でも教育改革が待たれます。
中曽根 私は今、党の教育再生調査会の事務局次長を務め、学校教育の改革を始めています。現在は自宅でもオンラインなどで個別最適な学習ができるので、学校は個性や自主性を伸ばす教育の場としたい。すると先生の役割も資質も教職課程の内容も変わる。これが抜本的な教育改革につながります。

佐藤 学校は家庭並みに生活時間を費やす場、そこでの過ごし方は人間形成に影響しますしね。もっとも、いくら少子化対策といってもベビーブームの再来はないでしょうし、少子社会でも、個性を伸ばす教育を受けた子が大人になって活躍できるようになるといいですね。

中曽根 そうですね。それと同時に、私も緊急事態宣言下で育児をしましたが、想像以上に大変でした。今は子どもが預けられないから働けない、だから産まないという人もいます。今後は育休取得推進や待機児童解消を進め、「仕事か育児」という2択をなくしていきます。

佐藤 核家族が増えた日本の喫緊の課題です。康隆さんには前例にとらわれない改革を期待しています。

中曽根康隆
「おじいさま、お父様を超えるリーダーとしての成長を心待ちにしています」(佐藤)