PC、モバイル機器をはじめ、現代のあらゆる電子機器に使用されている半導体。世界的に半導体需要が高まる中、素材機能を損なうことなく微細かつ高品位に加工できる高い技術と顧客対応力を誇るのがスペクトロニクスだ。
創業者・岡田穣治氏を中心にレーザー光学応用機器の開発・製造・販売などに取り組んできたスペクトロニクス。2021年4月に長岡氏が参画し、新規事業開発やマーケティング等は岡田氏、長岡氏が経営全般を担当し変革を推進する新体制で、経営の強化を図っている。
「スペクトロニクスが発振するのはピコ秒(1兆分の1秒)レーザー。超短パルスで光を出すレーザー発振器は他社も有していますが、産業用途微細加工レーザー専業としては当社が国内唯一。またピコ秒で266ナノメートル(nm)の超短波長レーザーを製品化しているのは世界唯一です」(長岡社長)
半導体製造工程では、基板メーカー、機能性素材メーカー、加工装置メーカーなどが強みを発揮する日本だが、微細加工レーザー発振器は欧米メーカーが席巻。日本の大手企業もすでに多くが撤退している。この状況下で同社が存在感を発揮できるのは、「岡田が12年に半導体レーザーゲインスイッチング方式(LD-GS)を確立し、266nmという世界唯一の技術を持つことが大きい。次世代半導体にはセラミックやガラス素材などの機能性素材が採用されます。この加工にピコ秒266nmレーザーが最適です」と語る。
IoTにポスト5G、カーボンニュートラルに自動運転など、小型化・高速化・低消費電力化・低消費電力生産への要求が加速する次世代半導体の製造・加工に不可欠なのが素材機能を損なわない高い超微細加工技術。これがコアコンピタンスとなっている。通常のレーザーではクラックが入る素材や粗くなる加工面も、ピコ秒パルスレーザーであれば、作用時間が短い上に波長が短く、高精細で滑らかな加工が可能。波長の異なるレーザーで加工した断面の滑らかさ、美しさの違いは一目瞭然だ。
「尖った技術には自信がありますが、事業は発展途上。従来は大学の研究室や企業のR&D部門での導入が主でしたが、今後は量産向け装置で貢献していきます。絞りと集中、顧客起点の戦略で攻めていく。まずは半導体の特定分野でグローバルニッチトップを目指します。業界の優れた製品には必ず採用される企業になりたい」
会社概要 設立●2004年4月 資本金●1,000万円 本社●大阪府吹田市 従業員数●31人 事業内容●レーザー光学応用機器の開発・製造・販売/レーザー応用事業および代理店業/レーザー光学応用機器の受託開発・設計 https://www.spectronix.co.jp/ |
【AD】