経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「人」と歩んだ100年 多能工化で品質を担保し 安心・安全な職場を実現―三好ロジテック


製鋼所での運送や粗鋼の精錬を中心にものづくりの現場を支える三好ロジテック。「3K(きつい、汚い、危険)」と言われる製鉄現場で、最長3909日の無災害を記録。社員の多能工化と安全に働ける環境の整備により、コロナ禍でも安定的に仕事を供給する。

三好ロジテック社長・三好寿良
三好ロジテック社長・三好寿良(みよし・ひさよし)

 1919(大正8)年に創業し、製鋼所内での半製品(粗鋼)の運送や精錬を中心に100年以上を歩んできた三好ロジテック。

 同社の強みは、個々の社員が幅広い作業に対応するスキルを有していること。運送、精錬の工程は、大型トラックの運転やクレーン運転、重機の操縦など多岐にわたる。複数の資格が必要な現場もあるが、同社は社員の資格取得をバックアップし多能工化を推進。一人一人が幅広い技術でマルチに対応できる体制を整えている。そのため業界の人材不足が進む中、欠員が出た際の人員転換も早い。コロナ禍で現場が休止した際も柔軟に人材を割り振れるため、「会社に来れば仕事がある」という安定した職場環境を実現している。

 多能工化によって、思わぬ適性を見いだす社員もいる。三好社長は「一つの業務が上達しないだけで辞めるのはもったいない。他の業務で強みを発揮してくれることも。成長する姿を見ると、家族のような思いが込み上げてきますね」と目を細める。

 数年前からは、近隣の工事会社の廃業に伴い、商圏を引き継いで土木・建築工事業の体制を強化。丁寧な仕事が好評で、紹介による依頼が後を絶たないという。「監督者が現場を回る時間を長く取っているようです。私たちも、安全パトロールでは現場の方に笑顔になってもらえるような声かけを心掛けています。人と人との関係が根本ですから」。

 人を重んじる経営は、安全面での成果にもつながっている。大阪労働局が定める無災害記録を第4類(3100日)まで達成した後、2018年には、厚労省が設ける150万時間無災害記録を達成し、社員や協力会社に報奨金を支給。最近では社員の安全への感性が磨かれ、ルールを口酸っぱく指導しなくても全員が自然体で安全作業を行うようになった。社員からの現場の改善提案も活発で、ヘルメットに無災害目標日数シールを貼る人もいるそうだ。

 規模拡大を追求せず、顔の見える関係性を築くことで品質と安全を守る。「一緒に働く仲間が誰一人ケガをせずに仕事を終え、無事に家に帰ってご飯を食べるというのが大目標です」と、健全な企業のあり方を自然体で示している。

会社概要
創 業●1919年4月
資本金●2,000万円
売上高●11億6,514万円
本  社●大阪市大正区
従業員数●100人(協力企業含む)
事業内容●陸上貨物運送、製鉄作業、工事業、労働者派遣事業
https://www.miyoshi-logi.com/

【AD】