世界初の分子飲料プリンタで数千杯もの飲料サービスを提供する「Cana Technology」

記事作成＝hackjpn

市場規模2兆ドルを超える世界の飲料産業では、年間数百兆リットルの水を使用し、5億4300万トンのCO2を排出し、4000億個以上の使い捨てプラスチック容器で世界のゴミ危機を煽っている。

世界が炭素を大量に消費し、ゴミを生成する20世紀の集中生産システムから逃れることができるように、食品および飲料業界について再考する必要がある。

そんな中、世界中の飲料業界を持続可能なものにしようとするある米国スタートアップが、すべての家庭に分子飲料プリンターを設置することを目指し、注目されている。

Cana Technologyの分子飲料印刷事業とは

Cana Technologyは、世界の生産と消費の方法を変えることを使命とする世界初の分子飲料印刷事業である。カリフォルニア州に拠点を置き、味覚科学と工学を使用してジュースやコーヒーからカクテル、エナジードリンクまで、さまざまな飲料を製造する分子飲料プリンターを製造している。

分子飲料プリンターとは、要するにsodastream（ソーダストリーム）とコンピュータープリンターを組み合わせたような製品だ。このスマートデバイスは、トースターほどの大きさで、キッチンカウンターに設置しておけば1つのプリンターカートリッジから、家庭の水と化合させることによって、ジュース、コーヒー、カクテルなど、無限の種類の飲料をタッチスクリーンを使って作り出すことができる。

われわれが飲んでいる飲み物から水を取り除くと、実際に消費している飲み物の量が5％から10％程度になる。同社はそれらの材料を濃縮し、100種類以上の飲み物を入れることができるカートリッジに入れている。

分子飲料プリンターは、高ビタミンドリンク、低アルコールのミモザ、低糖のアイスティーなど、無限のバリエーションも可能にする。砂糖やアルコールの分量やビタミンまで、消費者は自分の飲み物を自分のやり方でカスタマイズできるという。

科学を使って一口のドリンクを奇跡に変える

Canaのチームは、私たちが普段飲むものを分子レベルで研究し、フレーバー化学の研究から商業化することに何年も費やした。

何千もの市販飲料のフレーバーを特定し、微量化合物を特定して分離することに成功して、世界初の飲料プリンターを作成した。個々のフレーバー成分を小さなフォームファクターで迅速、正確に組み合わせ、市販のボトル入りオプションよりも安価でおいしい飲料を提供する、新しいマイクロ流体液体ディスペンステクノロジーを設計した。

印刷できる材料セットを使用して、何千もの異なる飲み物を再現できる。家庭で消費されるすべての缶入り、瓶詰め、およびプラスチック飲料を印刷すると、典型的なアメリカの家族は1か月あたり100容器以上を節約でき、プラスチックおよびガラス容器の使用、水の浪費、および世界の飲料製造のCO2排出量を80％以上削減できるという。

つまり、Canaを使用すると自宅で缶、容器、ボトル、テトラパックを購入、保管、廃棄、リサイクルする必要がなくなる。

地球を再構築する「飲料体験のNetflix」

Canaは元々、地球に影響を与える根本的な問題を解決するために設立された持ち株会社、The Production Board （TPB）の鋳造事業である。主要な科学的および技術的マイルストーンを実証して提供するため3000万ドル以上を投資し、食品、農業、生物製造、人間の健康、およびより広範なライフサイエンスにわたるグローバルな生産システムを再考しているという。

Canaの目標は、2兆ドルの飲料産業を再構築すると同時に、廃棄物が埋め立て地に入るのを防ぐと同時に、水の過剰な使用を防ぐことである。CEOのMatt Mahar氏は、プラスチックやガラス容器の使用、水廃棄物、および世界の飲料製造施設のCO2排出量を80％以上削減することができると述べている。

Canaの製品が大規模に普及すれば、プラスチックやガラス製容器の使用量、水の浪費量、そして世界の飲料製造工場から排出されるCO2を80％以上削減することができるだろう。

製品の価格についてはまだ検討中だが、1回あたりの使用料は飲料の小売価格よりも安くなるという。2月末までには、価格と販売開始時期の両方について完全なデータが得られる見込みだ。

CEOのMatt氏は自社デバイスを「飲料体験のNetflix（ネットフリックス）のようなもの」に感じたと述べている。自社で培った濃縮技術は、香水や化粧品など、他の多くの製品にも利用できる可能性がある。飲み物体験版のNetflixが、今後世界の飢餓問題や環境を大いに改善していくであろう。