Wiaas(ウィアーズ)は2020年からテイクアウト・デリバリー専門の飲食店の「ゴーストレストラン」や厨房施設のシェアリングの「クラウドキッチン」を運営。コロナ禍で外食産業が低迷する中、飲食店の課題解決や地方活性化に貢献し、グローバル展開も見据えている。文=垣内栄 写真=西畑孝則(雑誌『経済界』2022年12月号より)
Wiaasのゴーストレストラン事業「デリステーション」は、エスニックや和食、洋食、サラダ、スイーツ等のデリバリーブランドを累計100業態以上展開している。
2020年9月から開始したフランチャイズの拠点は全国で160を超え、22年6月には月間流通額は1億円を突破。野村不動産グループと提携したクラウドキッチンは「日経優秀製品・サービス賞2021」の日経産業賞を受賞した。
「直近3年で1千拠点、年商100億円を目指す」と盛永代表。元ITエンジニアの盛永代表は副業で民泊などのサービスを手掛け、起業当初は民泊関連のインバウンド事業を予定していたという。しかしコロナ禍で急遽、現業に方針転換した。
「飲食業界はほとんど素人だったので、外部シェフとのコラボ開発を主軸にした」と振り返る。ブランドを共同開発し、シェフへ売り上げの一部を還元する仕組みをつくった。飲食店の長時間労働かつ低賃金な職場環境にもメスを入れる。
「ゴーストレストランは飲食業界にインターネットと同程度のインパクトを与える」と語る。レシピやアイデアがあれば誰でもオンライン上でブランドを展開できる仕組みだ。
デリステーションは、料理研究家やYouTuber、アスリート、学生などとコラボ開発を行ってきた。また茨城や長崎、愛媛、長野、北海道などの農家や卸業者、水産会社と提携し、地方食材を起点に開発したブランドも展開し、地方にも利益を還元。中には月商250万円を超える業態も出てきているという。
同社はコロナ禍で苦戦する飲食店に対して、デリバリーという新たな収益獲得の手段を提供してきた。複数業態を加盟金0円、ロイヤリティ10%、2週間で開業できるという仕組みは業界にインパクトを与え、加盟店は全国各地で急増している。
「今後は海外展開も始める。国内のマーケットはいずれ先細りになる。飲食店の新たな収益源として、海外拠点の売り上げを還元できる食のプラットフォームを提供したい」
その際にはゴーストレストランやレシピのNFTにも挑戦していく。
10~20年先を見据え、業界をリードする企業として成長中だ。