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攻めから守りに転じるも次の爆発的な成長に虎視眈々と狙いを定める ソフトバンクグループ 孫 正義

ソフトバンクグループ 会長兼社長 孫 正義
ソフトバンクグループ 会長兼社長 孫 正義 そん まさよし

ソフトバンクグループ(SBG)は今、守りに入っている。

前3月期決算では1兆7千億円の最終赤字を計上、今期も第3四半期までで赤字額は9千億円を超えた。投資先の株価や評価額が大きく下落、それが足を引っ張った。そのためSBGは新規投資をほぼ凍結、アリババ株を一部売却するなどして資金調達を進めている。

これはいつか見た光景だ。21世紀に入って間もない頃、SBGはADSL事業に進出。収益よりもシェア獲得を目指したため、ユーザーが増えれば増えるほど赤字が増え、3年間で約3千億円の最終赤字を計上。そこで米国のヤフー株を毎年のように売却し、赤字を補填した。その役割を今はアマゾン株が果たしている。

こうして守りの経営に転じたSBGだが、攻めの経営が身上の孫正義会長兼社長は何をしているのか。

昨年5月の決算会見で孫氏は「一言で言うと『守り』、この姿勢でいく」と語り、半年後の中間決算会見では「これからアームに没頭する」。アームは7年前にSBGが3・3兆円で買収した英国の半導体設計会社。AIや自動運転などで半導体需要は今後一層高まる。それがアームを爆発的に成長させると孫氏は言う。

「一時的なアップダウンはあっても、デジタル分野は成長し続ける」ことを孫氏は40年前から確信しており、そこに一切のブレはない。

アマゾンはヤフーの10倍規模にまで成長した。孫氏はアームにアマゾン以上の価値を見いだしている。仮に将来、SBGが何度目かの危機に陥っても、その時はアームが助けてくれると信じているはずだ。

(雑誌『経済界』2023年5月号「注目企業2023」特集より)