経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

50年の歩みと信用を進化の土台に自律と和をもって未来へ挑戦 吉弘三男 ユー・エス・イー

ユー・エス・イー 吉弘三男

創立54年目を迎えるユー・エス・イー(Universal Systems Engineering)。創業者の吉弘京子会長は22歳で同社を創業し、100億円企業へと成長させたIT業界きっての女性経営者だ。2019年に社長に就任した吉弘三男氏は中期計画「2026ビジョン」を定め、売上高200億円を目指す。(雑誌『経済界』総力特集「注目企業2024」2024年5月号より)

ユー・エス・イー 社長 吉弘三男氏

ユー・エス・イー 吉弘三男
ユー・エス・イー 社長 吉弘三男 よしひろ みつお

大手メーカーの牙城を崩し受注獲得する会社の信用力

ユー・エス・イーはSI事業と自社ソリューションを提供するIT企業だ。コンサルティングから導入、運営までを担う。SI事業では、SalesforceやOracleなど同社が強みを持つ特化ソリューションでユーザー領域を伸ばし、2022年の業績は11%アップ。上場企業を中心に取引数も年々増加傾向にあり、22年の売上高は128億円と過去最高を達成した。

「今やDXがビジネスの主軸。公共社会基盤システムにおいてもDXが要となる中、当社は法人にとどまらず、公共のシステムにおいても幅広く役割を担っています」と吉弘三男社長は自信をのぞかせる。

中央省庁での入札では大手IT企業が居並ぶ中、その牙城を崩し勝ち取ったニュースは広く報じられた。

「スピードが求められる開発でしたが、長年培った業務ノウハウと技術力、持ち前の機動力を生かして受注と実装を完遂しました」

緊急性の高いシステムを短期で完成させるのは同社の強みだ。

自社開発のサービスソリューション事業では、2つの商品が好調だ。「Charlotte」は社会保険の電子申請クラウドサービスで、現在1631社、144万ユーザーが導入している。

「国の電子申請e‐Govに携わっていたことから、その経験とノウハウを生かして開発しました。クチコミで評判が広がっており、他社にはない商品力が強みです」

もう一つは人的資本経営を支援するクラウドサービス「CHROFY」だ。コーポレートガバナンスコードの改定や国による「人的資本可視化指針」の公開などにより、企業は人的資本に関する情報の開示が求められている。「CHROFY」は、企業内に散逸する勤怠や給与、人事評価など人事関連データを基に統合データベースを構築し、それを可視化。企業担当者の人的資本経営に対する課題解決を支援する。同社では一昨年、合弁会社CHROFYを設立し、販売に尽力している。

「当社は技術研鑽を主とした企業風土が土台にあることから、技術に裏付けされた実装を提案できます。また、自社工場を持ち、商品もスピーディーに開発できます。スピードやコストの観点から内製化を進める企業が増える中、ユーザーとの新たな関係づくりが今後の課題です」

社員が活躍できる働く環境整備に尽力

ユー・エス・イーは「オープンマインド&オープンコミュニケーション」を実践できる環境づくりに力を入れている。働く環境のハード面では本社ビルに隣接する恵比寿ガーデンプレイスの増床に加え、ソフト面では社内外への情報発信口としてUSE放送局を設置、現場社員が日常での体験、考えなどのブログをオープン社内報として発信、社外からも反響を呼んでいる。また社員の誕生会開催、社員旅行、運動会などの行事、ランチミーティングの促進が社内でのコミュニティを活性化する役割を果たしている。

スポーツにも力を入れており、その歴史は40年に及ぶ。最近では、野球部の軟式野球チーム「Sisis(シシーズ)」が渋谷区の大会で2連覇を達成。女子プロサッカーリーグのジェフユナイテッド市原・千葉に所属する林香奈絵選手と、陸上のケニア出身のオマレ・ドルフィン・ニャボケ選手の2人をアスリート社員としてサポートしている。

「ドルフィン選手は今年2月に開催された第76回香川丸亀国際ハーフマラソンで、大会新記録で優勝しました」と吉弘社長は目を細める。

創業50周年を記念して社歌とミュージックビデオも制作した。社歌「USE~幸せへの道~輝く太陽」は、吉弘京子会長と吉弘社長の同郷の音楽家、財津和夫氏が作詞・作曲を担当。ミュージックビデオの制作では「みんなで歌おう」を合言葉に、若手社員から役員まで、東京本社から九州支社の総勢200人が出演する大規模なプロジェクトになり、「NIKKEI全国社歌コンテスト2023」で『心に残る音楽賞』を受賞した。

こうした活動は人材確保にも寄与している。昨年、一昨年はいずれも約50人が入社。新卒社員が圧倒的に多く、今年も同等数を見込む。

「26年までに技術者1千人にしたい」と吉弘社長。19年の社長就任1年目には「感謝と真心」を行動指針として、社員との信頼感の醸成に心を砕いた。コロナ禍でも社員の安全を守りながら、彼らの意見に真摯に耳を傾けることで、社内の活性化や採用活動の活発化につなげた。

「昨年は『自律と和』の基本方針の下、『進取と変革』を行動指針としました。どちらも社訓の『挑戦』につながっています」

コロナ禍の収束を受け、同社では働き方を変革。社員と社内のさらなる活性化に向けて舵を切った。

「テレワーク率が上がっていましたが、リアルな職場の重要性を認識し、フロアを増床しました。新入社員については成長を考え、原則3年間のテレワーク禁止としました」

コロナ禍で希薄になった人間関係の再構築と、社員同士が切磋琢磨し成長を促すのが狙いだ。

「ビジョン実現のために掲げたのが『守・破・離』。SI事業で経営基盤を磐石なものにする『守』、一層の成長を促す『破』、今後は従来の仕事から脱却し自社のサービスを探求する『離』に注力し、将来を担う柱を築いていきたいですね」 

会社概要
設立 1970年3月
資本金 9,000万円
売上高 128億円(2022年度)
本社 東京都渋谷区
従業員数 795人(2023年3月末現在)
事業内容 ITサービスインテグレーション事業
(ITコンシェルジュ、Salesforce導入、Oracle Cloud導入、WEBクラウド導入、オリジナルクラウドサービス:社会保険申請Charlotte、人的資本経営支援CHROFY)
https://www.use-ebisu.co.jp/