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顧客の成長スピードに応じた柔軟なシステムで課題を解決 家永慎太郎 フォービス

フォービス 家永慎太郎

顧客に徹底的に寄り添い、ビジネスステージや成長スピードに応じたシステムを提供しているフォービス。通販・流通事業に特化した稀有なシステム開発会社だ。業界と顧客を深く理解し、一歩先の提案ができるその強さの秘密を、家永慎太郎代表に聞いた。(雑誌『経済界』総力特集「注目企業2024」2024年5月号より)

フォービス 代表取締役 家永慎太郎氏

フォービス 家永慎太郎
フォービス 代表取締役 家永慎太郎 いえなが しんたろう

業種を絞って業界を理解しより深い提案で課題を解決

「私たちの最終目標はシステムを導入していただくことではなく、お客さまの課題を解決することです」

家永慎太郎代表はこう話す。ソリューションありきではなく、目指すのは顧客の課題解決。そのために顧客企業に通いつめ、各部署にヒアリングを行い、どんな課題があるのかを徹底的に洗い出すという。

ワークフローを変える必要があると判断すれば、役割定義や業務設計まで行う。さらに、「数年後に御社では人事評価を見直す必要が出てくるはず。その時にこの機能が必要になる」等、その企業の成長スピードに合わせて先回りした提案も行う。

こうした提案ができるのは、同社が「流通・通販事業者に特化したシステム開発会社」であるからだ。顧客の業種を絞るシステム開発は珍しい。その意図を家永氏はこう語る。

「要件が明確であればどのようなシステムも作ることはできます。しかし、私たちが目指すのはシステムを通じてお客さまの課題を解決すること。お客さまが本当に欲しいシステムを作るには一歩踏み込んで業界を知り、ノウハウを蓄積する必要があります。そのため、お客さまの業種を絞っているのです」

成長に素早く対応できる変化するシステム開発

ではなぜ流通・通販業界に絞っているのか。ここにも理由がある。

「私たちが全ての答えを持っているわけではありませんから、現場でトライし続け、模索する必要があります。それができるのは流通・通販業界のような、次々と新しい会社やモデルケースが誕生して成長していく業界だと考えました。加えて、2000年頃にシステム開発の投資規模が拡大していたことから、流通・通販業界に特化しました」

新たな企業が生まれ、急成長するサイクルの速さはシステムの開発や運用にも大きな影響を与える。

「その時の事業内容や事業規模に合わせたシステムを作っても、実際に使い始めると不都合が出てきます。特にビジネスが成長するにつれて業務やサービスも徐々に増えていきます。そのため、システムの変更や拡張が必要になりますが、システムを徐々に変えるのは難しいというのが定説です。新たなシステムを導入するにもある程度の時間はかかりますが、その間もビジネスは成長を続けています。だからこそ、システムにも『変化する仕組み』が必要だというのが私たちの考えです。また、流通・通販業界に絞っていても、商品やサービスの仕組み、業務内容、評価システムに至るまでお客さまごとに異なります。さらにはお客さまが成長するほどお客さま特有の事情が顕著になります」

顧客の成長スピードや課題解決に柔軟に対応するため、顧客の要望に沿ってゼロから作るフルスクラッチ開発を基本としながら、通販統合ソリューション「VEGAS」によるカスタマイズ開発も行っている。

VEGASは流通・通販業界に特化した同社がリピート通販のシステム開発の知見を生かして構築。カスタマイズ性が高く、その時に必要な機能をアプリとして提供できるのが特徴だ。急成長や急拡大で生じた顧客の課題にも、ビジネスのスピードを落とすことなく対応できる。

エンジニアを適正評価するシステム開発の工業化を

同社が創業以来、取り組んでいるのがシステム開発の「工業化」だ。

「私たちが追い求めているのは変化できる仕組みづくりです。変化には『今あるものを取り外す』と『新しいものを付ける』が必要ですが、これは足し算と引き算を同時に行うようなもの。ビジネスを止めるわけにはいきませんから、他の機能に影響を与えずにシステムを変化させるのは難しい。その解決方法となるのが『工業化フレームワークの発明』と『分業』です。建設業界のように一つ一つの機能を分業化し、工法を確立して組み合わせてシステムを開発するという考え方です。今のシステム開発では、Aという機能の担当者がBもCも理解する必要があり、担当者の育成に時間がかかります。しかし、各機能を分業化して組み合わせれば、Aの担当者はAさえ理解できれば現場に参画でき、納期短縮や品質の向上につながります」

システム開発の工業化にはいろいろなメリットがあるという。

「スキルや経験のない人もシステム開発の現場に参画しやすくなります。パソコンがあれば自宅でできますから、高齢者の雇用創出も可能でしょう。ただし、工業化を進めても、お客さまの課題や要望を酌み、システム開発を推進する力がある人も必要です。今、システム開発の世界は高いスキルや能力に応じた適正な評価になっていません。これはスキルや経験値の浅いエンジニアも高額な報酬体系となっており適正な分配が困難だからです。これでは学ぶ姿勢を保つのは難しいですよね。工業化が進めば、高スキル人材と作業者を明確にできます。結果、十分な報酬差を設けることができます。顧客の課題解決に全力を尽くす人をしっかり評価し、活躍できる環境を整える。それが、システム開発の工業化を進める私たちの願いです」

工業化のフレームワークは25年の完成を見込んでおり、3年以内に実証プロジェクトを行うという。こうした取り組みが「目指すべきは顧客の課題解決」という同社の強い思いとあり方を支えていく。 

会社概要
設立 1995年9月  
資本金 5,500万円  
本社 東京都港区  
事業内容 システムに関する企画・設計・製造・業務運用支援  
https://forbis.jp