アステラス製薬から、ガスターなどの医療用医薬品16製品を継承し、事業を開始したLTLファーマ。長期収載品と呼ばれる、特許が切れて後発医薬品もある先発医薬品を扱う新しいビジネスで、患者への安定供給とともに優れた収益性を実現している。(雑誌『経済界』総力特集「注目企業2024」2024年5月号より)
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LTLファーマ 社長 伊藤哲郎氏
LTLファーマは、長期収載品のプラットフォームとして経営の効率化を図りつつ、独自のビジネスモデルを構築している。伊藤哲郎社長は外資コンサルティング会社などでM&A事業に関わっていた経験や強みを生かすべく同社に参画。設立5年目の2021年に社長に就任した。
「政府が革新的新薬の創出を目指す時代において、新薬メーカーは長期収載品に頼らない経営を進めています。とはいえ、長期収載品を必要とする患者のために、受け皿になるべく設立されたのが当社です」と話す。
自社工場を持たず、外部パートナーと組む事業体制で、長期収載品に特化した組織、オペレーションを構築できた。
「現在の医薬品マーケットは、後発医薬品が80~85%を占め、長期収載品は10~15%といった割合です。大手の製薬会社では採算性が低いものでも、当社で販売すれば収益が得られる仕組みをつくりました」
現在、注力している取り組みは、収益性の確保、安定供給、製品の改良や情報提供の質量の拡充の3つ。
収益性の確保には、薬価維持または引き上げのための活動や、コストダウンなどでライフサイクルを延ばしていく取り組みが重要となる。
「収益性の確保は、患者さまの治療選択の確保にもつながっていきます。医療上欠かせない薬もあり、これを続けていくために、採算を合わせるのはわれわれの役目です」
昨今は解熱剤や去痰剤など医薬品の欠品が社会問題となっており、原薬や生産能力を確保して、安定供給することは優先的な課題だ。
また古い薬であっても日々新たな観点から多くの問い合わせがあり、情報をアップデートする必要がある。
「スピーディに情報提供できるようAIの活用なども考えています」
今後は新規事業推進も含めた業容拡大のため多様な人材を採用し、組織を活性化していきたいという伊藤社長。
「長期収載品や処方薬といった枠にとらわれず、新しい領域にもチャレンジしていきたいと考えています。社会、人々の健康に貢献する領域に関して、当社の強みを生かせる分野にも投資していきます」
会社概要 設立 2016年8月 資本金 36億5,000万円 売上高 157億690万円 本社 東京都新宿区 従業員数 60人 事業内容 医療用医薬品の製造・販売および輸出入 https://www.ltl-pharma.com/ |