IoTやモビリティ製品に搭載するAIエッジコンピュータの開発を進めるティーツー・ラボラトリ。オープンイノベーションを目指し、大学や企業に技術提供を行い、顧客の課題解決をサポートすると丹場展雄代表は展望を語る。(雑誌『経済界』総力特集「注目企業2024」2024年5月号より)
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ティーツー・ラボラトリ 代表取締役 丹場展雄氏
丹場展雄代表は、日立製作所でLSI(半導体大規模集積回路)の開発に携わり、退職後、AIエッジコンピュータの設計サービスに特化した研究・開発を行っている。
データ量が多いAI処理では、クラウドやメインコンピュータにデータを送ると負荷が大きくなる。しかし、AIエッジコンピュータでは、AI処理を端末で行うため、高速処理が可能になり、通信コストも削減できる。
また、AIエッジコンピュータはセンサーとしてモノに取り付けるため、小型で軽量であることが求められる。同社は記念切手サイズの超小型で高性能なコンピュータを開発し、数々の実証実験を行ってきた。
「広島大学との共同研究では、最新のAIソフトを搭載して、人でも見分けが難しい傷みのあるミニトマトを高速に検出する実験を行いました。今後は農家での品質検査に使えるようにしていきたいと思っています」と丹場代表は話す。
東京都の「次世代イノベーション創出プロジェクト2020」への参画では、「次世代モビリティオートパイロット電子プラットフォーム」の開発にも成功した。
「ロボット、ドローンなど多くの映像データを扱うオートモビリティ製品で、搭載される多数のセンサーやエッジコンピュータ、サーバ間のネットワーク・トラフィックの定量評価を可能にしました。このプラットフォームを活用すれば、お客さまがシステム開発する際のコストダウンや設計が容易になります」
同社のAIエッジコンピュータは、パフォーマンスのアップや消費電力の改善など、今後さらなるブラッシュアップを重ねていくという。
「日本のAIの分野は世界の中でも遅れているので、オープンイノベーションとして、われわれの技術を低コストで提供していきたいと考えています。農家での活用をはじめ、今後は幅広い業種へアピールも考えています。提携先を増やし、手を取り合って、AIエッジコンピュータの可能性を広げていきます」
AIやIoTが身近になる企業が増える中、同社の先端技術の可能性は多岐にわたる。マーケティングにも力を入れ、実用化を目指す。
会社概要 設立 2020年4月 資本金 900万円 本社 東京都立川市 事業内容 コンピュータのハードウエア、ソフトウエア研究開発、設計、製作およびコンサルティング、部品およびソフトウエアの輸入、販売 https://t2-laboratory.com/ |