経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

独立系企業だから可能な公平性、中立性、透明性の追求が成長の鍵に 山口友宏 クオルテック 

クオルテック 山口友宏

2023年、大手メーカーの製造工程で相次いで検査不正が発覚した。信頼回復の鍵となる可能性があるのが、第三者機関による公正な検査だ。中でもクオルテックは、数少ない独立系の検査会社。23年7月に上場を果たした信頼も追い風に、依頼が増加している。(雑誌『経済界』総力特集「注目企業2024」2024年5月号より)

クオルテック 社長 山口友宏氏

クオルテック 山口友宏
クオルテック 社長 山口友宏 やまぐち ともひろ

2023年に創立30周年を迎え、東証グロース市場に上場したクオルテック。24年第2四半期累計(7~12月)は前年同期比で増収増益となり、売上、営業利益、経常利益、純利益のいずれも前年同期を上回っている。

同社は、独立系の検査会社としては初の上場企業だ。主力事業は、自動車業界の新技術開発、電動化、電気自動車の改良における、分析・解析・信頼性評価。その品質は極めて高く、電子・車載部品の分析・信頼性評価において、ISO/IEC17025適合の試験事業所にも認定されている。

同社が躍進する最大の理由は、独立系企業だからこそ可能な公平性、中立性、透明性の追求にある。もともと海外では検査を第三者機関が行うのがスタンダード。それが日本でも主流になる可能性があるからだ。

そんな同社が近年注力している事業に、EV・ハイブリッド車などのインバータに使用されるパワー半導体の検査・試験がある。パワー半導体は、省エネや環境保全への貢献度が高く、中長期的に見て成長分野だと目されている。24年2月には営業拠点として、半導体工場が集まる熊本に営業所も開設した。

さらに半導体分野では23年12月、世界初のルチル構造二酸化ゲルマニウムの製膜に成功した立命館大学発ベンチャー企業のPatentix(本社・滋賀県、衣斐豊祐社長)と協業。ルチル構造二酸化ゲルマニウムの製膜は、パワー半導体の性能が飛躍的に向上する技術で、社会実装されれば一定のシェアを獲得する可能性が高い。その製膜を同社が一手に担うとなれば、今後の成長スピードは計り知れない。

また、同社の成長は人材にも支えられている。従業員の年齢層は20~60代まで満遍なく、最高齢はなんと82歳だという。うち約25%を女性が占める。山口社長は、「高齢者や女性の技術、経験値は絶対必要です。ずっとご活躍いただける会社でありたいです。また、事業が拡大しても創業からのホスピタリティ精神を大切にしていきたいと思っています。事業のゴールはお客さま・株主さまの笑顔と、当社従業員の笑顔です」と朗らかに語った。 

会社概要
設立 1993年1月  
資本金 3億9,210万円  
売上高 36億円(2024年6月期予想)  
本社 大阪府堺市堺区  
従業員数 231人(2023年12月31日現在)  
事業内容 電子部品の不良解析・信頼性試験、工場経営、実装技術に関するコンサルタント、レーザ加工・表面処理(めっき)技術を中心とした微細加工  
https://www.qualtec.co.jp/