(雑誌『経済界』2024年9月号「総力特集 人材育成企業2024」より)
「キントーン」など、グループウエアでトップを走るサイボウズ。
企業理念である「チームワークあふれる社会を創る」を実現するには、サイボウズ自身がレベルの高いチームワークを実践しなければならないため、多様性を最大限認めた結果が、社員一人一人に合わせた働き方を生み出した。
多様性を認めながらも生産性も高く、コロナ禍の追い風もあり、毎年、売上高は過去最高を更新し続けている。
しかし青野慶久社長は、企業規模の急拡大は望んでいないという。
サイボウズの採用サイトでは、青野社長がその理由を語っているが、「急激な成長の裏には、必ず犠牲になる人がいるから」だという。
「どんどん人を採用して、ついて来れない人は辞めてもいい、みたいなやり方だとペースは上がるかもしれませんが、それはやりたくない」とその思いを語る。
創業後しばらくは、サイボウズもハードワークが当たり前の会社だった。そのおかげで急成長したが、離職率は3割に迫っていた。それが現在ではわずか3・56%にすぎない。青野氏の言葉からはもう2度と同じ轍は踏まない。これからさらに成長を続けても、過去には戻りたくないとの決意がうかがえる。
さらに青野氏は、「農業でいう土と作物です。土が人と組織で、作物が事業みたいなイメージ。だからまず土をいい状態にしたい」とも語っている。
農業の土壌づくりに終わりはない。サイボウズの土づくりも日々、続いていく。