経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

自律型組織で能力を発揮 衛星データとAIで社会課題を解決する 金本成生 スペースシフト

スペースシフト

AIを活用し、地球観測衛星のデータ解析ソフトを開発しているスペースシフト。今年から衛星データ事業共創プログラム「SateLab(サテラボ)」を始動し、6億円の資金調達も行った。宇宙ビジネスを成長させてきたのは金本成生代表だ。(雑誌『経済界』2024年12月号「総力特集 強い組織の流儀」より)

金本成生 スペースシフト
金本成生(かねもと なるお) スペースシフト

大学時代にITベンチャーを起業後、米国でレコード会社に就職し、IT業界を経て再び起業した金本代表。子どもの頃から興味があった宇宙を身近にするため、衛星データの活用に着目した。

「地球観測衛星のデータをAIを用いて自動的に解析する技術を研究開発し、災害対応や農業モニタリング、安全保障などに役立てる提案を行っています」

同社には宇宙ビジネスに興味を持つ人材が集まっている。自由な社風の中でそれぞれが伸び伸びと能力を発揮できる環境をつくるため、細かい管理はしないという金本代表。

「目標設定をして、適切な指示を出した後は自主性に期待し、自分で考えて結果を出していく自律型の組織を目指しています。それが個々人の能力を引き出し、強い組織をつくることにつながると考えています」

学生インターンは常に50人ほどの登録があり、月20~30人が稼働しているのも同社の特徴だ。

「インターンも即戦力であり、インターン同士の教育体制も代々受け継がれ、良い関係が築けています」

今後、社員を増やしていく予定だが、50~60人程度にとどめ、世界とどう戦えるか事業戦略を練っているところだ。

「今のところ競合は米国の衛星データ解析会社1社のみ。そことも協業の契約を結び、共にマーケットを盛り上げていく方向で一致しています。会社の規模をむやみに大きくするのではなく、技術やプロダクトで勝負する経営を目指しています」

一過性ではなく、未来永劫に使われる技術をつくっていると金本代表は語る。顧客へのヒアリングを重ね、衛星データをどう使うか提案できるフェーズに入っており、三井住友海上火災保険との協業もスタートした。

「これからは衛星データの活用が当たり前になる時代がやってきます。将来的にはインフラとして普及したインターネットと全く同じことが衛星データに起こるはずです。ロケットが安く打ち上げられるようになり、データをたくさん取得できる時代がやってきました。この2~3年でそのデータの活用サービスを牽引していくグローバル企業に急成長させていきます」 

会社概要
設立●2009年12月 資本金●6億3,800万円
本社●東京都千代田区 従業員数●25人
事業内容●衛星データ解析システム開発、衛星データ解析業務、宇宙事業関連の各種調査・コンサルティング
https://www.spcsft.com/